限られた国や地域でしか食されていない食材ってありますよね? そう言った食文化の違いは、他の文化圏や国/地域の方達からはとっても特異に見えるものでしょう。そもそも食材として認識されていないわけですから、驚くのも当然と言えば当然なわけで。「えっ!? それって食べられるの? ~(゚Д゚;)/」ってな具合に・・ まぁ、その食材が、その国や地域特有の食材で他地域にはなかった(生息域が違う)とか、文化的or宗教的な理由から食さないと言ったことがその原因ってことはよくあることでしょう。後は、味や香りの好みの違い、調理方法の違い等々ってことが理由だったりすることが大半です。今回ご紹介する、日本独特の食材、”ゴボウ”は、そう言う類の理由からちょっと外れてしまっている食材って言えるかもしれません。

“ゴボウ”はキク科の植物でして、根っこの部分を食します。日本に伝わったのは平安時代のこと。大陸から薬草(漢方薬)の類として伝えられたと言われています(一説では、縄文時代には伝わっていたとも)。その後、食用として栽培されるようになり、一般的な食材として全国に広がっていったんですね。各地で品種改良も進められ、伝統的な和食料理の素材の一つになりました。地域によっては、お正月に食べる定番料理となっているゴボウ料理もあったりします。この”ゴボウ”・・ 海外では食べる習慣がないんだそうです。日本独特の食習慣なんだとか。現在、日本で食されている植物の大半は、元々は海外が原産地だったりします。勿論それらは、海外において食べる習慣がちゃんとあるものが、食用として伝わって来たんですね? “ゴボウ”はあくまでも薬草として伝えられた植物だったんです。日常的に食するものではなかったんです。食用とはされていないにも関わらず、食用の野菜として作物化された外国産の植物は、この”ゴボウ”くらいなんだそうです。 ・・ビックリです。

“ゴボウ”は、薬草(漢方薬)とされていたってことで、とても独特の味と香りを有します。後、やはり植物の根っこ部分ですから、歯ごたえ等の食感も特徴的ですね。そのため、それらを活かした料理が考案されました。”きんぴらゴボウ”、”豚汁”なんかは、”ゴボウ”を使った料理として非常によく知られています。最近は、世界的な健康ブームも相まって、海外の方々にも知られるようになってます。水溶性食物繊維が豊富ですし、ミネラル類も多いってことで。”ゴボウ茶”、”ゴボウチップス”、”ゴボウサラダ”なんかはご存知の方もいらっしゃるかもしれません。まぁ、やはり独特の味と香り、食感が特徴の食材ですから好みは分かれるでしょうが、是非一度はお試し下さい。案外クセになるかもですよ?

代表的な”ゴボウ”料理

BurdockRoot_002

・きんぴらゴボウ
繊切りor笹がきにしたゴボウを砂糖と醤油で甘辛く炒めた料理です。ニンジンやレンコン等の他の根野菜を一緒に用いる場合もアリ。仕上げにゴマをまぶすと更に美味しくなります。

・豚汁
豚肉、ゴボウ、ダイコン、ニンジン、サトイモ、長ネギ等を具材として用いた味噌汁料理の一つ。 豚肉とゴボウが必須具材です。

・ゴボウ茶
ハーブティーの一種です。ゴボウを細かく切って、乾燥/焙煎したものを煮出して作られるお茶です。味も風味もがっつりゴボウです。ゴボウエキスたっぷり。

・ゴボウチップス
ゴボウを使った野菜チップスの一つです。市販されている商品が割と増えてきています。

・ゴボウサラダ
繊切りしたゴボウを湯がいた後、マヨネーズ等で和えたサラダ料理の一種。ニンジンなんかを加える場合も。シャキシャキとした食感が特徴。ゴボウの茹で時間と変色防止等の”下ごしらえ”がとても重要です。

・たたきゴボウ
ゴボウを醤油/酢/砂糖等を用いた調味料で漬け込んだ料理。爽やかな甘酸っぱさとシャクシャクした食感が特徴。近畿地方では、お正月料理の一つとして知られています。”下ごしらえ”として、茹でる前にゴボウをぶっ叩いておくことで繊維を解して味を染み込みやすくするのが調理する際のポイントです。

食用の野菜として定着するまでの経緯がちょっとばかり特異な”ゴボウ”ですが。その根っこの長い様から、長寿を願う縁起物として、お正月料理なんかでも用いられるくらいに、今や日本の伝統的な野菜になっているのはとても面白いですよね? 他の国では食べる習慣のない日本の食材としては、他にも”こんにゃく”、”フグ”なんかがあります。そう言った食材やそれらを用いた料理には、やはり独特の経緯があったりするため、調べてみるとなかなか面白いんです。何と言いますか、それらにはある種の”積極性”と”こだわり”のようなものが垣間見られるような気がするんですよね。”これを何とかして美味しく食べてやるっ”みたいな・・? 私達も、先人達のこの”積極性”や”こだわり”を見習うべきだな~って改めて思ったりしますねぇ。今後も更に海外の文化を理解を深めていくためには、とても大事だと思うんです。