“乾杯”は、会食や酒宴等において、その催し事を始めるきっかけとして行われる慣習のようなものです。同様の文化が世界中で見られますから、それほど珍しい慣習ではないでしょう。日本における”乾杯”の起源も、海外における大半のそれらと同様に宗教や信仰に関わる儀式/儀礼なんかが元になっていると言われています。日本において、古代から”お酒”は神様に捧げる重要なお供物の一つでした。ですから、”お酒”を口にすると言うのはとても神聖な行為だったわけで、そう言った行為には、神様に対する感謝や祈念と言った意味合いを込めた作法が生み出されていったんでしょう。神様に対する感謝や祈念と言った意味合いでの”乾杯”の作法の名残りの一つとして、神前の結婚式における”三々九度”なんかはよく知られています。その後、神様に対する云々~ってことは関係なく、”お酒”を口にする場において参加者同士が盃を合わせる(交わす)と言う行為が一般的に広がっていきました。慶弔如何に関わらず、”お酒”を口にする際の慣習として定着していったんですね。ちなみに少し余談ですが・・ 日本では、”お酒”を一緒に飲むことを”盃を交わす”って言い方をしますが、コレ、実際に盃を交換してたんです。状況によっては、この行為は非常に重要な意味を持っていまして、一種の”(親子/兄弟/仲間の)契りを結ぶ”行為とされてたりしました。”お酒”を一緒に飲むと言う行為は、やはりいつも特別な意味合いを有していたんですね。
さてさて。現在の日本における”乾杯”の文化は、主に近代以降の欧米文化の影響を強く受けたものだそうです。”~を祝って”、”~を願って”って掛け声に合わせて、盃を掲げるってことはそれ以前から行われていましたが、”カンパーイ~”って言うお決まりの言葉が一般に定着したのは近代になってからなんだとか。”乾杯”の意味合いとしては、”盃(杯)を飲み干して(乾して)祝おう”、”盃(杯)を飲み干して(乾して)、お互いの幸せを願おう”って感じですね。あ、これは勿論中国から伝わった掛け声です。尚、日本における”乾杯”の際の作法に関してですが。例えば、お互いの盃を打ち付けるかどうかってことに関して。まぁ基本的に、グラスを用いる際はその場合によりけりです。一方で、盃やおちょこなんかを用いる場合は、打ち付けることはあまりございません。一般的には少し掲げる程度ですね。後、必ずしも一息に飲み干す必要はございません。口をつける程度でも問題ありません。
国や地域毎に”乾杯”の掛け声って色々ありますよね? それぞれの語感と言いますか、口当たりの違いってとても面白いものです。その国では、その国の”乾杯”の掛け声でお酒を楽しみたいですよね。皆さんが日本で”お酒”を楽しまれる際には、是非”カンパーイっ”ってやってみて下さい。