外国に足を踏み入れた際に、おそらく誰もが最初に手にするその国の文化の一つが紙幣や硬貨です。均質で精巧な紙幣や硬貨が流通しているかどうかによって、その国の現況をうかがい知ることができるなんてことも言われてます。国や地域によって、その形状や種類、材質や造り、デザインは様々ですよね? 大抵の場合、紙幣や硬貨にはその国や地域の歴史や文化を踏まえた絵柄や装飾が施されています。歴史上の人物、或いは現権力者の肖像だったり、有名な建造物や風景、動植物・・ 代表的な産業に関わるものだったりすることもありますかね? また、紙幣や硬貨はその国や地域の工業技術力が反映されるものでもあるわけで、ある意味でその国の顔とも言えるものでしょう。

さて、日本ではこの度、新紙幣と新硬貨が発行されることになりました。刷新されるのは、一万円札、五千円札、千円札と\500硬貨。2024年の前半期くらいには発行予定だそうです。(あ、新硬貨(\500硬貨)については、昨年2021年11月から既に発行されてますね・・)新紙幣の発行は、2004年以来で、およそ20年ぶりのことなんです。しかも今回は、日本の最高額紙幣である一万円札の肖像も変わると言うことで、なかなか話題になってます。慣れ親しんだ紙幣や硬貨が変わってしまうのは、楽しみである一方で時の流れを感じると言いますか、何となく名残惜しいような気持になるものです。ただ、最近はカードでの支払いや電子マネーの利用等々、直接紙幣や硬貨を取り扱うことがなくなってきてますから、意外に目にする機会が少ないかもしれませんね・・ ぶっちゃけ、私達も見慣れるのにちょっと時間が掛かるかもしれません・・ でもまぁ、折角の久しぶりの新紙幣と新硬貨の発行ですので、きちんとご紹介しておこうと思います。

新紙幣

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・一万円札
1984年時の発行以来、一万円札の人物肖像として用いられていた”福沢諭吉 氏”が、新一万円札では”渋沢栄一 氏”に変わることになりました。近代日本において、企業創立/育成に尽力した人物として知られています。ちなみに、裏面は日本の国鳥とされている”雉(きじ)”の図柄から”東京駅(丸の内駅舎)”のものに変わるそうです。全体的に茶系の色の紙幣です。

・五千円札
2004年から発行されてきた”樋口一葉 氏”から”津田梅子 氏”の肖像に変わることになりました。日本における女子教育の先駆者として知られています。裏面は、尾形光琳筆”燕子花(カキツバタ)図”から”藤”の花の図柄に変わります。五千円札は、紫系の色の紙幣ですので、図柄として用いられる花もその色に合わせてるんでしょうかね?

・千円札
2004年から発行されてきた千円札の肖像は”野口英世 氏”。新千円札では”北里柴三郎 氏”に変わります。破傷風菌の純粋培養、血清療法の開発、ペスト菌の発見等々、近代医学/感染症学の分野で世界的な功績を残した人物です。裏面は、富士山と桜の図柄から、葛飾北斎筆 “神奈川沖浪裏(富嶽三十六景より)”に変わります。青系の色の紙幣です。

人間は顔の認識能力が非常に高いそうです。非常に微細な違いに気づきやすいことから、偽造防止の観点からも紙幣に人物肖像を載せることは有効なんだとか。紙幣の人物肖像として採用される基準としては、次の三点が挙げられるそうです。

– 精密な写真or画が存在すること
– 品格があること
– 国民にその顔や功績等がよく知られていること

更に今回、新紙幣の人物肖像として選定された三氏はいずれも「現代の日本にも通じる、普遍的な問題に取り組んだ人物」であると言うことが共通点なんだそうです。やはり、紙幣はその国の顔とも言えるものですから、とても慎重に選定されているんですね。

新硬貨

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・五百円硬貨
ニッケル黄銅製だったものが、ニッケル黄銅+白銅+銅になったそうです。後、0.1g重くなったとか。大きさやデザインは従来のものと同じなんですが、その構造なんかが何だかとってもスゴいことになってまして、偽造防止のための技術の粋が詰まっている感じです。”バイカラー・クラッド”、”異形斜めギザ”、”微細文字/点/線”、”潜像細工”等々・・ ご興味を持たれた方はちょっと検索してみて下さい「( ̄▽ ̄;)…