文化圏が異なると、”色”についての解釈や認識と言ったものも変わりますよね? 今回はそんなテーマの一つとして「虹」を取り上げてみたいと思います。さて、皆さんは「虹」っていくつの色に分かれて見えますか? あー、いえ。皆さんがいらっしゃる国や地域では、一般的に「虹」はいくつの色に分かれてるって考えられていますか?ってお訊ねした方がいいでしょうか。”「虹」はいくつの色に分かれているか?” コレ、文化圏によって様々なんですね。地域や民族、時代によってもその解釈が様々に異なるみたいです。欧米圏では、一般的に6色(赤、橙、黄、緑、青、紫)とされているそうですね。ドイツ等のように5色(赤、橙、黄、緑、青)としている国や地域もあるようです。中国なんかでも5色。アフリカ地域や南国地域の国では2色だったり、3色だったり(色の組み合わせや順番は様々)。実に面白いと思いませんか? では、日本では一般的に何色に分かれてるって考えられているかと言いますと・・ 7色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)なんです。17世紀終わり頃に、英国のアイザック・ニュートンが唱えた光のスペクトルの色を7色とした説が、江戸時代終わり頃に日本に伝えられたのが定着したんだと言われています。ちなみに、どうやら元々は4~5色くらいって認識だったようです。その後、欧米圏では藍色(or濃紺色や紫色)を除いた6色or5色とする説が一般的になっていきましたが、日本ではそのまま7色とする説が一般的な認識になりました。
“「虹」はいくつの色に分かれているか?” 様々な分野の人々がその解釈について考えました。光学(物理学)や色彩学、更には文学、民俗学、教育学等々・・ 近代以降、これらの分野はいずれも大きく発展していきました。光学の分野においては、可視光線の波長の正確な値が得られるようになりましたし、色彩学の分野では高度な色分布の分類方法がいくつも確立されました。しかしながら、それらはいずれも”「虹」は何色に分かれているか”という問いに対する正答を導き出すためのものではなかったようです。”色”の見え方or捉え方は文化圏によって異なりますし、その”色”を表す言葉や単語も違います。その”色”が有する意味合いや印象と言ったものも違ってきますよね? 同じ文化圏内でそれらをある程度共有している人々の間でも、各人によって微妙にずれがあったりするわけです。”「虹」はいくつの色に分かれて見えるか?”と言う問いには答えはなく、”「虹」をいくつの色に分けて見るか?”と言う問いに対する答えを求めていたと考えた方がいいのでしょう。その問いに対する答えをどう言う解釈で以て考えるか?と言うことは、それ自体が文化の有り様そのものと言えます。前述したような様々な分野において示されたそれぞれの解釈を踏まえた上で、日本では”「虹」は7色”と言う文化が出来上がったんだと思います。日本語には”曖昧”なものを表現する言葉がかなり多くあります。オノマトペなんかもそうですね。それ故に、”色”を表すことができる言葉数もたくさんあったんです。それらを用いることで、他の国や地域とは異なる”色”に対する解釈や認識と言ったものを共有できたのでしょう。きっと、そう言った文化が背景としてあったからこそ、”「虹」は7色”と言う共通認識が日本人の間に根付いたんでしょう。
日本文化における”色”に対する解釈や認識にはなかなか面白いものが多かったりします。また、折を見て他のものもご紹介していきたいと思っております。