日本の汁物料理と言えば、”お味噌汁”がよく知られています。今回取り上げる”吸物(お吸い物)”は、和食におけるもう一つの代表的なスープ料理です。主にだしや醤油、塩で味付けしたつゆに魚介類や野菜等を入れた料理で、透明度が比較的高いスープ類のことを指します。味噌が全体に溶け込んで濁った見た目の”お味噌汁”とも違えば、甘辛い砂糖醤油や味噌で煮付けた所謂”煮物”料理とも違います。
さて。和食において、スープ料理のことを一般的には”汁物”と呼ぶのですが・・ 和食料理の分類上、正確には”吸物(お吸い物)”は”汁物”とは別物なのだそうでして。和食のコース形式の料理として、”懐石料理”なんかがよく知られています。ある程度決められた調理方法で作られた各料理を順に一品毎に提供する和食のコース料理のことです。この”吸物(お吸い物)”はそれらの料理の一つって扱いなんです。(※”懐石料理”では特に”椀物(わんもの)”とか、”羹(あつもの)”なんて呼ばれ方もします)一方で、”汁物”は、必ずご飯と一緒に添えられる物として扱われているんですね。つまりは、比較的簡易な調理方法で作られているのが”汁物”、とっても凝った調理方法でメイン料理の一つとして作られているのが”吸物(お吸い物)”って感じ。あるいは、”吸物(お吸い物)”の中でもご飯のお供用の簡易な作りのものが”汁物”って感じでしょうかね。ちょっとややっこしいですね・・
和食の調理方法には大陸から伝えられた技術が元になっているモノがたくさんあります。和食で用いられる食材なんかもやはりそうですね。それらを元にして、先人達が長い年月をかけて研究を重ねた結果、現在の和食文化が出来上がっているわけです。で、そんな和食の料理の中でも、”吸物(お吸い物)”はそれらの調理方法を非常に繊細に組み合わせて作られているものが多くあるんです。料理人の腕やセンスの良し悪しが非常に問われる料理なんだそうです。そのため、”懐石料理”や”精進料理”なんかにおいても、最も重要な一品とされていたりもするんです。それだけにですね? できるだけ、この”吸物(お吸い物)”がどのような料理なのかってことについて、きちんとご紹介したいと思ったわけです。そして、和食にご興味を持たれた皆さんには是非一度は美味しい”吸物(お吸い物)”を是非是非試して頂きたいなー、と。きっと感動して頂けるはずですので。