冬の日本料理と言えば、やっぱり鍋料理です。専門店なんかも多くありますし、近年は調味料や具材一式が丸まんま揃えられた調理用セットなんかも購入できますから、日本に在住されている方ならば、ご自宅でもお楽しみ頂けます。以下では是非お楽しみ頂きたい代表的な鍋料理をいくつか簡単にご紹介しておきましょう。
寄せ鍋
最も一般的な日本の鍋料理の一つ。用いる出汁や具材も季節毎、地域毎に非常に様々です。
具材:
野菜類や豆腐(豆腐加工品も含む)類、肉/魚介類(その加工品も含む)等々。基本的にお好み次第で何でもOK。
スープ:
カツオ、昆布、キノコ、貝類等の出汁をベースにして、お好みで塩、醤油、酒、味噌等で調味します。
おでん
一説では、”田楽(でんがく)”と呼ばれる串焼き料理の一種の煮物料理だったとか。やがて江戸時代以降に、練り物(すり身類)や厚揚げ等の大豆加工品が具材として加えられて鍋料理として発展したようです。冬時期のコンビニエンスストアでは、スナック類として手軽に購入できたりします。
具材:
はんぺんや薩摩揚げ、ちくわ等の練り物(すり身類)や厚揚げやがんもどき等の豆腐類等が用いられるのが特徴。他に大根、こんにゃく、ゆで卵等。
スープ:
カツオ、昆布が用いられるのが一般的。一部地域では味噌も用いることも。
しゃぶしゃぶ
薄くスライスした食材を熱い出汁スープや熱湯にくぐらせることで加熱調理して食する鍋料理の一つ。調理後、ポン酢やごまだれ、或いは専用のタレ類をつけて食します。元々は牛肉の水炊き鍋の食事方法の一つだったそうで、世間に広く知られるようになったのは1950年頃のこと。その調理中の様子を表すオノマトペを”しゃぶしゃぶ”と言う料理名として用いたのもこの頃だそうです。
具材:
牛肉や豚肉、鶏肉の他、ブリやタイ、カニといった魚介類。白菜や春菊、長ネギ等の野菜類。
スープ:
カツオ、昆布が用いられるのが一般的。近年は欧米風(コンソメ等)、中華風、韓国風のスープ等、バリエーションも増えています。
すき焼き
牛肉をメインとして、野菜類と共に醤油、砂糖、酒、みりんを合わせた調味料で甘辛く煮る鍋料理。食する際に説いた生卵をからめるのも特徴的。他の鍋料理と比べると汁っけ(スープ)が少なく、その調理方法も多めの調味料で炒め焼くものだったりします。その発祥は諸説あるものの、現在一般的に知られている”すき焼き”は、江戸時代末期に生み出された牛鍋料理が元となっていると言われています。
具材:
基本的には牛肉を用いるが、豚肉や鶏肉を用いることも。長ネギ、白菜、春菊、シイタケ、糸こんにゃく(シラタキ)、豆腐、麩等々。
スープ:
醤油、砂糖、酒、みりんを合わせた調味料(割下と呼ばれる)と食材からでる水分で煮るのが特徴。
湯豆腐
名称の通り、お湯で煮た豆腐に醤油やポン酢、ネギやユズ、大根おろし、鰹節等の薬味をつけて食する鍋料理です。京都が発祥と言われています。
具材:
豆腐。
スープ:
主に昆布だし。
ちゃんこ鍋
相撲部屋において日常的な食事として食されている鍋料理の総称を”ちゃんこ鍋”と言います。そのため、そのバリエーションは非常に多くあります。一般的によく知られているちゃんこ鍋は、大まかには寄せ鍋や水炊きに類似するものです。
水炊き
西日本(関西と北九州)を期限とする鍋料理。基本的には、水(湯)で食材を煮るだけで、調味料等は基本的に用いずに調理するのが寄せ鍋との違いとされています。ただし、予めとった出汁スープを用いる場合もあります。
具材:
大まかには寄せ鍋と同じく何でも用いられます。
スープ:
用いる食材から出る出汁が基本。
ちり鍋
水炊きの一種で、白身魚の切り身を野菜や豆腐とともに煮る鍋料理。煮汁には調味料等で味付けをせず、調理した食材をポン酢等のタレや薬味をつけて食します。
具材:
マダラ、タイ、フグ、クエ等。
スープ:
用いる食材から出る出汁が基本。
もつ鍋
牛や豚のホルモン肉を主な食材とした鍋料理です。福岡県博多が発祥と言われており、同地域の郷土料理の一つとなっています。
具材:
牛や豚のホルモンの他、ニラ、キャベツ、ニンニク等。
スープ:
カツオや昆布の他、鶏がら等からとった出汁をベースに醤油や味噌で味付けをするのが一般的。
石狩鍋
鮭を主な食材とした味噌仕立ての鍋料理で、北海道地方の郷土料理の一つです。北海道の開拓が進められた明治時代中頃くらいに現在のような料理として出来上がったようです。元々、北海道ではアイヌ民族の食文化として鮭の汁料理(オハウ)等がありましたが、一説ではそれを元にして味噌味の鍋料理として生み出されたと言われてます。
具材:
鮭(塩鮭を用いる三平汁とは異なり、生鮭を用いるのが本来だそう)。ダイコンやニンジン、長ネギ等の他、タマネギ、ジャガイモ、キャベツ等の西洋野菜もよく用いられます。
スープ:
鮭や他の野菜等から出る出汁をベースに味噌で調味する。また酒粕や牛乳、バター等を加える場合も。
きりたんぽ鍋
“きりたんぽ”は、秋田県の代表的な郷土料理の一つで、つぶしたうるち米を棒状に固めて焼いたものです。そのきりたんぽを地鶏(比内地鶏)のガラスープで煮込んだ鍋料理がきりたんぽ鍋と呼ばれます。
具材:
鶏肉(特に比内地鶏)の他、ゴボウ、シメジやマイタケ、ネギ、セリ等。
スープ:
鶏がら出汁をベースにして、醤油、日本酒、砂糖(orミリン)で調味します。
アンコウ鍋
主食材にアンコウを用いた鍋料理。茨城県はアンコウ鍋やどぶ汁等、アンコウを用いた料理がよく知られてます。江戸時代中頃にはその調理方法が出来上がっており、当時から人気の料理だったようです。
具材:
アンコウ(メス)の各部位。野菜類は水菜やシイタケ等の他、寄せ鍋や水炊きで用いられる食材と大体同じ。
スープ:
出汁はアンコウの身から出るもので十分なため、酒、ミリン、ショウガ、味噌or醤油等で味付けされます。
キムチ鍋
キムチ漬けを調味料として用いる鍋料理です。日本のキムチ鍋は寄せ鍋、水炊きにキムチ漬けを加えたもの、或いはキムチ風に調味したものって感じです。1990年代後半くらいから、日本でも広く人気になりました。
具材:
キムチ漬け、他は寄せ鍋や水炊きと同じく何でも用いられます。
スープ:
寄せ鍋と同様、カツオや昆布だし等をベースにキムチ漬け、或いはキムチ調味料を加えます。キムチスープの素も色んな種類のものが市販されています。