日本は一応「お米」が主食とされる食文化です。まぁ、海外から色んな食文化が流入して、特に近代以降は西欧の食文化が一般に広がったことでパン類や麺類等の小麦製品なんかが食されることが多くなりました。実際のところ、日本における「米」の消費量は世界的に見てもそれほど高くないんですよね。そんなわけで・・ ”一応”って言い方をせざるを得ないのが、現在の日本の「食」の風景だったりするんですが。しかしながら、所謂「和食」の典型的な構成、つまりは、汁物といくつかのおかずが並んでて~みたいな”お膳”においては「ご飯」は欠かせないものです。また、古代に稲作農業が根付いたことで、この日本という国が出来上がったことを鑑みれば、日本の主食と言えば、やっぱり「お米」ってことになるんだろうと思います。

rice_02少し前置きが長くなってしまいましたが、今回は「お米」についてです。この「お米」ってものが日本の歴史を作って来たと言っても過言ではないんですね? 「お米」という保存性のきく穀物類の生産が可能になったことで、“定住”することができるようになったんです。そうなれば、その地域には村や町が出来上がり、文化が生み出されていきます。やがて「米」の生産性の良し悪しが、それら各地域同士の力関係に直結するようになって競合する。当然、それらに絡んで争い事もいっぱい起きますが、一方で交易による文化交流も行われる・・ そう言ったことの積み重ねによって、この国は出来上がったんですね。日本の主要都市の多くは、「お米」の生産に適した地域、或いはその地域からの「お米」の流通に適した地域が基になっています。そして、その流通路が現在の交通網の大元になっているわけです。国力を示すバロメータとなる作物等は様々に異なるものの、世界各国/各地域において、これらは共通することでしょう。日本の場合は、その作物は「お米」だったんです。やっぱり最初は、温暖で肥沃な平地で豊富な河があって~といった元々の稲の生産に適した地域から稲作農業は始められたようですが、当然そんな地域は限られていました。日本は島国です。その地形上、各地域によって気候が様々に異なります。そのために、「お米」の生産にあたっては、各地域ごとに適した品種を作り出す努力がこれまた様々に行われました。それはそれは本当に様々に・・ その結果、各地域ごとにまた風味が異なる「お米」の品種が多く生み出されました。現在、スーパー等の食料品売り場には、まぁ驚くほど色んな種類の「お米」が並んでいるのをご覧頂けます。「ブランド米」なんて呼ばれたりするんですが、これら全部、食べ比べてみると本当に風味や食感が全然違うものなんですよ? と~ってもざっくりした感じにご紹介してしまいましたが、日本の「お米」は本当に美味しいんです。是非とも一度は、ただ炊いただけの「ご飯」を召し上がって頂ければと思います。


米研ぎ

「お米」を使った料理やそのレシピ等については色んな所で紹介されてますが、意外とちゃんと触れられていないことが多いのがこの”米研ぎ”という工程についてです。じゃあ、その”米研ぎ”とは?ってお話ですが・・ 「お米」は、一般的に稲の実の皮(もみ殻)を取り除いて、糠と呼ばれる種子の胚を取り除く加工を施されます。この工程は”精米”と言います。ちなみに、この胚を取り除いていないものが、所謂”玄米”ですね。一般市場に流通している「お米」はこの”精米”って処理が施されているものです。さて、この「お米」を炊飯するわけですが、その前処理として「お米」を洗うんですね? ある程度残っているもみ殻の欠片や埃等を綺麗に洗い流す処理をするんです。この処理工程のことを”米研ぎ”と言うんです。「お米」を水に浸した後、米一粒一粒の表面を擦り合わせるようにして、米を磨き上げるわけです。ある程度、擦り合わせたら水を換えてもう一度・・ 更にもう一度・・ 更に更に・・ それを何度か繰り返すことで、米の表面の汚れなんかも綺麗にします。水がある程度濁らなくなったら、”米研ぎ”完了! いざ、炊飯へ~ってな感じです。この”米研ぎ”は、「お米」を美味しく調理するのにとても重要な工程なんです。しかも、とても繊細な技術が必要なんです。”米研ぎ”って言葉の通り、”研ぐ”わけですから。刃物を”研ぐ”のと同じような作業と考えて頂ければ、その繊細さはイメージして頂きやすいかもしれません。こういうことも、食文化の重要な要素ですよね?

まぁ、日本の食文化において非常に大きな位置を占めると言っても過言ではない「お米」の調理方法において、とっても重要な工程であるこの”米研ぎ”ですが・・ 近年、環境保護の面から色々と見直されてきているんです。なんでも、この”米研ぎ”の工程で出る”研ぎ汁”が、河川に排出されることで汚染してしまっている恐れがあると言われるようになったんですね? 河川が富栄養化しちゃうんだとか・・(・ω・`) たしかに、この”研ぎ汁”って栄養たっぷりなんです。米糠が豊富に含まれますし、米表面から削り落とされたでんぷん質なんかも溶け込んでますから。ですから、かつては日常生活の中で色んな用途で用いられていました。畑などの肥料として用いられてきたのは勿論のこと。他にも、タケノコの灰汁抜きや大根なんかの辛味抜き等の調理にも色々用いられていましたし、お掃除や洗剤の代用品としても使われていたんです。しかし、近年はあまりそういう用途では用いられなくなったのも事実でして。当然、”研ぎ汁”は自然由来のものです。工場排水なんかに含まれる化学物質の類とは違うわけですが、排出量が過多になるとやはり自然環境に何かしら悪影響が出るかもってことでしょうか。(※尚、下水処理技術が発達した現代の日本においては、一部の地域を除いて、各家庭からの排水が直接河川に流れ込むことはありません) 環境破壊の原因と断定されてしまったわけではありませんが、大きな悪影響が出ないうちに対策が必要だろうってことで・・ 近年、この”米研ぎ”が不要な”無洗米(既洗米とも)”が市場に多く出回るようになりました。実のところ、現在の精米技術も相当に向上しているため、”精米”処理がされただけの米でも”米研ぎ”が不要だったりするものもあるんだとか。各時代の流れに沿って、技術や文化って色んな方向に進化するんですね~ 現在では、各家庭で調理する際には行われることが少なくなった”米研ぎ”だったりするわけですが・・ でも「お米」を美味しく炊き上げるためには、不可欠な工程であることは変わりありません。この機会に、覚えておいて頂ければです。


ブランド米

“コシヒカリ”、”ヒノヒカリ”、”あきたこまち”なんてお米の名前を聞いたことありませんか? これらは日本の有名なお米の品種(銘柄)です。さて、最近はスーパー等の食料品売り場に非常にたくさんの種類のお米、「ブランド米」なんて呼ばれるものが並べられているってお話しをしましたが。この「ブランド米」って呼称、実はちょっとばかり定義の仕方が様々だったりします。製品名と同義と言ってしまっても一応差し支えはないんです。ただ、特にここ最近話題に取り上げられるようになった「ブランド米」って表現は、おそらくニュアンスや意味合いが今までのものとは少し違うんですね? 日本各地の地形や気候に合わせて様々な品種改良が重ねられた結果、”コシヒカリ”、”ヒノヒカリ”、”あきたこまち”と言った有名な品種が生み出されてきたわけですが・・ ちなみにこのような品種改良は、国や各都道府県の農業試験場で行われてます。まぁ、同じ品種のお米であっても、産地や農法が異なれば、その品質は様々だったりするんです。それじゃあ、その産地や農法がある程度確立して、そのお米の品質が安定したものになれば、それはある意味それぞれ別のお米として捉えた方がいいんだろうってことなんでしょう。日本では、本格的なお米の品種改良は1900年頃から始められました。やがて、1950年代に日本のお米を代表する品種”コシヒカリ”が産み出されました。実のところ、”ヒノヒカリ”、”あきたこまち”と言った品種も元はこの”コシヒカリ”から派生していって産み出されたお米なんです。そんな具合に、日本のお米の品種はその元になった品種が同じものが結構多いんですね。現在話題になっている「ブランド米」もまた然り、というわけです。

これらの「ブランド米」ですが、同じ”○○”って名前で販売されていても、きちんと”△△産”、”××産”って明記することで区別できます。実際に食べてみると、本当に味や食感が違うんですよ? で・・特に際立って、味や食感なんかが他のお米とは違うってものなんかは全く別の名前が付けられています。そういった「ブランド米」の多くは、別の品種として正式に登録されています。まぁ、これらの「ブランド米」のネーミングが、結構絶妙にそれっぽくてステキなんです。そのセンスが羨ましくなるくらいです。

現在、日本全国で栽培されているお米の品種は300種近くになるんだそうです。じゃあ、どれが美味しいのか?って話ですよね・・? 勿論、そこは人それぞれのお好みによりけりってお答えするしかないんですが。きっとご参考になるかも?って情報をせめて、と言うことで。一般社団法人「日本穀物検定協会」さんが毎年発表している「米の食味ランキング」ってものがありまして。”外観”、”香り”、”味”、”粘り”、”硬さ”、”総合評価”の6つの項目を元に評価して、美味しいお米をご紹介して下さってます。ご興味を持たれた方はご確認してみて下さい。


発芽玄米

一般的に、食用として流通しているお米は”白米”です。”白米”は、稲の果実である”もみ”の外皮(もみ殻)を除去した”玄米”から更に”ぬか”や”胚芽”を取り除いたものです。この”玄米”ですが、”白米”と比較すると、非常にビタミン類やミネラル類、食物繊維等が豊富であることが知られています。”ぬか”や”胚芽”にそれらが含まれているんですね? 一応、この”玄米”のままでも食することはできますし、市販もされているんですが・・ まぁ、食感が固かったり、香りや味に独特のクセがあるんです。とは言え、近年は世界中で健康食材が人気です。”玄米”の有する、豊富な栄養類をみすみす取り除いて食するのはもったいない、と言う考え方を持つ人も多くなったわけでして・・ そこで、現在非常に注目されるようになったのが、”発芽玄米”です。コチラ、”玄米”を一、二晩ほど20~30℃くらいの水に漬けることで、わずかに発芽させたものです。一般に市販されているものは、それを更に乾燥後、脱籾してあります。”玄米”と比較すると、食感も柔らかく、また香りや味のクセも軽減されており、食しやすくなっているんです。慣れると、”白米”よりもこちらの方が好みという方も多いようです。好みの割合で”白米”と混合して炊飯する等、消費者によって色々と工夫して食されたりしてます。ご興味のある方は、一度お試し下さいませ。


“ご飯のお供”について

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日本の米食文化では、お米を食する際の主菜、副菜とはまた別に”ご飯のお供”と呼ばれるおかずがあります。ご飯のためのトッピング料理の一種と考えて頂くと良いでしょうかね。この”ご飯のお供”とされるものは、元々は主食であるお米(ご飯)をより多く食べるためのおかずでした。まぁ、現在でこそ日本は食料に恵まれている国になってはいますが、ほんの一昔前まではそうではなかったんです。故に、おかずの品数や量も少なかったために、お腹を満たすには少ないおかずでより多くのお米を食べる必要があったわけです。(※厳密に言えば、現在のような白米が一般でも十分に消費されるようになったのも近代になってからのことです。ですから、お米以外の穀物類なんかも主食として食されていました。

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そうして色々と生み出されて来たのが、”ご飯のお供”の類です。日本独特の”ご飯のお供”としてよく知られるのが”ふりかけ”と呼ばれるものです。この”ふりかけ”はご飯にまぶして食べることを目的として作られた、言わば、ご飯専用の調味料とも言えるものだったりします。日本のスーパー等の食品売り場には、結構な広さで専用コーナーが設けられています。また、以前に別記事でご紹介した”お漬物”なんかも”ご飯のお供”の代表的なものの一つですね。野菜類の他、魚介類等の塩漬けや酢漬けと言った漬物類。その他、燻製や干物等のような乾物類なんかも代表的な”ご飯のお供”として挙げられます。これらの”ご飯のお供”は、いずれも基本的に塩味が強いもの、或いは味が濃いものが非常に多かったりします。これは、より多くのお米を食べるためと共に、保存が効くようにするためと言う理由もあったようです。当然、地域毎の気候や入手できる原材料等の違いから、全国各地それぞれで非常に多くのものが生み出されて来ました。そのいくつかは、各地の名産品になっていたりします。それらをきっかけに、お米(ご飯)が好きになる方も多いようです。また、”ご飯のお供”の類の多くは、お酒(特に日本酒や焼酎)のおつまみにも適したものが多いんです。あ、ご飯をあまり多く食べられなかったり、お酒類も全然飲めない”私”も”ご飯のお供”の類は大好きだったりします。一つの料理として、本当に美味しいものがたくさんあるんですよ? ただし、どうにも塩味が強いものや味が濃いものが本当に多いので食べすぎには要注意です。