日本国内で生産されている主な穀物類はお米。と言うわけで、まぁ、日本の主食は?と問われれば「お米」と答えるのが正解なんでしょう。しかしながら実際の一般的な日常生活において、果たして「お米」が主食なのかと言えば、割とそうでもないってお話は他の記事等でもご紹介してきました。ラーメン、うどん、そば、パスタ等々・・ 他の穀物類を口にする機会の方が多かったりするのが現在の日本の食風景です。そんなラーメン等の麺類に並んで、現在の日本の食文化における代表的な穀物食品が「パン」です。欧米等の文化圏なんかでは、「パン」が主食だったりすることは珍しくありません。「パン」がいつ頃から食されていたのかってことを辿っていくと、まぁとんでもないことに13,000~14,000年くらい前にまで遡れるそうです。中東~西アジア等の地域では、農業が始められる以前から自生していた木の実などを原料とした「パン」を既に食べていたんだとか・・ 紀元前3,000年頃には、ヨーロッパやエジプト等にまで「パン」の製法は伝わっていたようですし。さて、この日本に「パン」が伝わったのは戦国時代末期~安土桃山時代のこと、大体16世紀後半くらいです。ポルトガルからの宣教師によって伝えられたんだそうでして、日本での呼び名「パン」はポルトガル語の”pão”に由来すると言われています。その後、日本は江戸時代へと移り変わっていき、250年以上も天下泰平の世の中が続いたわけですが。この頃には、「パン」は日本の食文化に浸透していくことがありませんでした。まぁ、おそらく当時の人々の口に合わなかったってのが主な理由なんでしょう。「饅頭」の皮部分にあたる「蒸しパン」みたいなものは、和菓子として人気があったようですから。結局、日本において「パン」が一般に広まるのは、明治維新後でした。衣・食・住、全ての日常生活が急速に西洋化が進むことによって、「パン」も日本の食文化の一つとなっていったわけですね。

さてさて。主食としての「パン」と言えば、食パンやコッペパン、フランスパン等がよく知られています。これらの「パン」って”具”無しのものですよね? 原材料や製法、食感や味なんかは各国各地域毎に様々ですが、まぁ基本的には”具”は入っていませんね? 現在の日本において、「パン」は主食とは言わないまでも、どっぷりと世間一般に馴染んでいたりします。ただ、やはり和食のおかずと共に「パン」は基本的には食べないんです。主食として「パン」を食べるのは、料理が洋風のものの場合です。じゃあ、日本の主食は「お米」です!!って言いきれない気持ちになるくらいに、「パン」が日本人に好かれている理由は何ぞや?ってお話ですが。その理由がおそらく”菓子パン”、”調理パン”ってものの存在です。まぁ、要するに「パン」を自分達好みにアレンジしたものを定着化させてしまったんですね? しかも、この自分達好みのものへのアレンジは明治時代辺りから早々に始められてしまっていたようです。「パンだけだと味っ気がないな~」、「じゃあ、”具”入れればヨくね?(即答)」きっと、こんな感じだったんでしょうかねぇ。ご時勢的にも、西洋化が急速に日常生活を変えていく時代だったからこそなんでしょう。あっと言う間に、「パン」は受け入れられていったわけです。

そんなわけで、現在日本にはたくさんのパン屋さんを目にすることができます。主食として食べる「パン」以外のものが、あんなにもたくさん並べられてるのって面白い風景なんだそうですね? 海外からいらっしゃった方達の中にもなかなか好評らしいですし。実際、目にすると何だかテンションが上がってしまいます。いざ買っちゃおうってなると、今度は目移りしてしまうものが多くって困りものです。皆さんもくれぐれもお気をつけ下さいませ。以下では、日本ならではの”菓子パン”、”調理パン”をいくつかご紹介しておきたいと思います。ご参考になれば何よりです~。
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菓子パン

餡、チョコレート、クリームやジャム等の甘い具材をパン上に乗せたり、包み込んだり、あるいは生地自体に甘味を有する素材等を練り込んだりすることによってお菓子風に仕上げられたパン類のことです。食事と言うよりは、デザート的な扱いかもしれませんね。

・メロンパン
パン生地の表面上にビスケット(クッキー)生地を乗っけて焼き上げられた菓子パンの一種です。焼き上がった際の見た目の形状がメロンに似ていることからこの名称が付けられたと言われています。”メロンパン”という名称と同様に、その発祥については諸説あったりしますが、それらの説の中には日本発祥とするものもあります。元々はメロンの果汁や果肉等は含まれていませんでしたが、”メロンパン”という名称を後追いする形で材料として用いられる種類のものも製造されるようになりました。日本には”メロンパン”の専門店なんかもあったりするくらい人気の菓子パンのひとつです。

・あんパン
こちらも日本発祥。明治維新後まもなくの頃、西洋のパン文化が一般に広がった当初に既に考案されていた代物です。日本における菓子パンの正に”元祖”と言えるでしょう。元祖”あんパン”発祥のお店も、現在でもちゃんとございます。実際に食べてみると、やっぱりちょっと感動しますよ?

・ジャムパン
明治時代終わり頃に考案されたんだとか。前述の”あんパン”を考案した”木村屋”さんが製造したものが元祖だそうです。現在では、”ジャムパン”に用いられるジャムは基本的にいちごジャムなんですが、昭和10年代の頃まではあんずジャムが用いられていたようです。それはそれで超美味しそうですよね?

・コロネ
巻貝(or角笛)みたいな円錐形状に焼き上げられたパンの空洞部分にチョコレートクリーム(orクリーム)を詰め込んだ菓子パンです。名称自体はイタリア語の”corno”が由来となっているようですが、こちらも日本発祥の菓子パンなんだとか。見た目がシンプルなのにオシャレな感じが素晴らしいです。ネーミングセンスが羨ましくなりますね。

・揚げパン
日本の”揚げパン”は、一度焼き上げたパンを改めて油で揚げる製法のものです。「パン」が伝わっている世界各地でも同様の類のものが多く見られます。ただし、日本の”揚げパン”の発祥はそれらとは全く別モノで、海外由来のものではないそうです。第二次世界大戦後、日本の公立の学校では給食が出されるようになりまして、その主なメニューの一つがパンでした。当時は戦後まもなくと言うことで、全国的にはまだまだ食糧不足だったわけです。当然、お菓子類(甘味)なんてものは非常に貴重だったんです。で、少しでも子供達に栄養価の高い給食を提供しようと言うことで考案されたんだとか。油で揚げて、砂糖をまぶすことによって、保存がきくと共に高カロリーが摂取できるようにしたんですね。そんな経緯もあって、ある一定の年齢以上の世代(特に昭和生まれ)にとっては、とても思い出深い菓子パンなんです。

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調理パン

パンとは別に調理された具材等を乗せたり、挟んだり、包み込んだりしたパン類です。甘味のものが多い”菓子パン”に対して、こちらはどちらかと言えば、塩味や辛味のものが多いですね。”惣菜パン”って呼び方されます。面白いのは、元々海外から伝わった「パン」と洋食メニュー(または洋食の調理法を用いた料理)を組み合わせることで、なぜかとっても日本テイストなものに仕上がってしまっている点です。日本発祥の”洋食メニュー”のエッセンスが感じられるのが、この”調理パン”じゃないかと。”丼もの”と同様、大体の料理がパンに挟まれるなり包まれるなりしてます。”ご飯”のおかずになるものは、乗っけてしまえば”丼もの”として成立する、っていうのと同じ発想ですね。まぁ、とっても色んな種類があります。汁っ気が多い具材は汁っ気を飛ばしてしまえばいいでしょ!、ショッパイなら、ちょっと薄味にすればいいじゃん?ってな具合に何でも組み合わせてみるうちに、本当に不味いものは淘汰されたって感じなんでしょう。意外とないのが、焼き魚を挟んだり包んだりした調理パンでしょうかねぇ。

・カレーパン
日本発祥の”調理パン”の代表格です。20世紀の初め(1920年代くらい)に考案されたんだそうです。名称からお分かり頂けるように、”カレーをパンに入れちゃいました”、後”更に揚げちゃいました”ってものです。専門店も結構たくさんあったりします。

・焼きそばパン
“焼きそばをパンに挟んでやりました”って代物。既に主食属性を有する穀物類(この場合は麺類)の料理を、更に主食属性持ちのパンに挟んでしまうという発想・・ ステキです。

・お好み焼きパン
“お好み焼きをパンに挟んじゃいました”、もしくは”パンでお好み焼きを作りました”って感じのパンです。ええ。食べてみると、確かにパンの一種ですね、コレ。

・ナポリタン
“ナポリタンをパンに挟んでやりました、あはは” !( ̄▽ ̄;)!~

・カツサンド
“とんかつを・・(以下略)”

・フィッシュサンド
“白身魚のフライを・・(以下略)”

・○○サンド
“○○を・・(以下略)”

日本全国各地にパン屋さんはたくさんございますので、見つけた場合は立ち寄ってみてはいかがでしょうか? 定番のものから、「!!」ってなるもの。あるいは思わず「・・」と絶句してしまうもの等々、きっと楽しいと思いますよ~♪