その地域の特産物を具材にしたものもあれば、全くそういったことは無関係なものまで。「和」「洋」といったこと問わず、「スイーツ」を売りにしている飲食店もそれはそれはたくさんあります。

「甘味」へのこだわりは、その国の文化意識の高さを測る物差しの一つになる、とかならないとか・・まぁ、少なくとも日本人は「スイーツ」が大好きなんです。結構な行列を作ったり、〇ヶ月待ちの予約だってしちゃいますし。折角の機会ですから、ちょっと興味をそそられるものを見つけた際には試してみましょう。「インスタ映え」のチャンスかもですよ。

日本におけるスイーツブームの変遷

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高度経済成長期~バブル期を経て、日本には以前にも増して、非常に多くの海外からの様々な食文化が流れ込んできました。勿論スイーツ類も様々なものが次々と持ち込まれてきました。それらのいくつかは、一時的に本当に大流行したんです。ただ、そう言ったブームと言うものは、大抵は長続きはしないものです。また次の別のブームによって、その多くはなりを潜めていきました。とは言え、一時期のピーク時の人気を維持することはなくとも、その後すっかり定番のものとなったものも多くありました。更には、日本に定着し過ぎた結果、そのまま日本で独自に進化してしまったものも。まぁ、日本人の多くは、現在も変わらず新しいもの/珍しいもの好きなんですね?

そんなわけで、以下では「日本におけるスイーツブームの変遷」についてご紹介したいと思います。

1970年代末:

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・クレープ
1977年、東京の原宿・竹下通りに”マリオンクレープ”さんが路面店を出店したことをきっかけに大人気になりました。当時原宿・竹下通り界隈は若者文化の中心地だったことが大きな要因になったようです。おそらく日本における、最初のスイーツブームと言っても良いでしょう。

1990年代始め:

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・ティラミス
バブル期終わり頃、日本ではイタリア料理が非常に流行しました(”イタ飯”なんて呼ばれてました)。そんなイタリア料理のデザートの一つ”ティラミス”が、超大ブームとなりました。その後、次から次へと様々なスイーツが日本に紹介されるようになっていったのも、この”ティラミス”の空前の大ブレイクがあったからこそでしょう。
→ ブームが過ぎた後も、”ティラミス”は定番のケーキの一つとして日本に定着しました。現在では、完全に日本独自のアレンジ/進化を遂げてしまっています。

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・ナタデココ
独特の食感で人気を博しました。見た目こそ、日本の”寒天”に非常によく似ているものの、あの食感は唯一無二と言った感じでした。フルーツポンチやゼリー等、他のスイーツの食材の一つとして用いることができることから、汎用性が高かったんでしょう。ブーム後もそのまま定番食材として残り続けています。

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・パンナコッタ
“ティラミス”同様、イタリア料理のデザートの一つですね。継続して大流行していたイタリア料理における新しいスイーツとして人気を博しました。定着していたプリンやババロア等とは、また異なる風味や食感が注目を集めたようです。
→ こちらは”ティラミス”とは異なり、それほど定番化はしませんでした。”ブラマンジェ”や”杏仁豆腐”、”生プリン”と言った似た食感のスイーツが登場してきたこともあり、その後はあまり見かけなくなってしまいました。

2000年代:

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“ティラミス”、”ナタデココ”、”パンナコッタ”のような大ブームとはならないものの、2000年代は非常に多くのスイーツが話題になりました。コンビニデザートが日常化したことや、パティシエ店ブームが起きたことで、スイーツの多種多様化が進んだんです。

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・マンゴープリン
こちらは香港から持ち込まれたスイーツですね。以降、韓国や台湾等から様々な料理が紹介されるようになっていきましたが、中でもスイーツ類はアジアンスイーツなんて呼ばれるようになりました。”杏仁豆腐”なんかも、改めて注目を浴びたりしましたね。

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・バウムクーヘン
ドイツの伝統スイーツの一つですね。それまでも、贈答品なんかとして知られてはいたのですが、専門店等の登場によって一気にブレイクしました。現在では、個包装された食べ切りタイプのものがスーパーやコンビニなんかで定番商品となっています。

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・ベルギーワッフル
こちらも、実は1990年代には登場していたりしたんですが、2000年代に入ってスタンド販売店等が人気を博したことで改めて注目を浴びました。”バウムクーヘン”同様、こちらもすっかり日常スイーツの一つになっています。

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・マカロン
2000年代に話題となったスイーツ類の中では、比較的大きなブームとなったのがこちら。”ピエール・エルメ”さんの日本での出店が大きなきっかけになりました。見た目の可愛さと種類の豊富さ。そして独特の食感が非常に人気を集めました。その後、専門のパティシエ店なんかも多く登場しました。ちなみに、高温多湿の気候である日本であの食感を再現するのは、非常に大変だったようです。

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・生食感スイーツ類
既存のスイーツ類を改良して、滑らかでやわらかい”生”のような食感にしたものが非常に人気を集めるようになりました。クリスピークリームドーナツを代表とする生ドーナツ。他にも生キャラメル、生プリン、生チョコ等々。この流れは、今では一般化して、日本人の食感に関する新たな嗜好を生み出しました。そういう意味では、非常に意味合いの大きいブームだったと言えるかもしれません。

2010年代後半:

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所謂”SNS映え”するスイーツ類が人気を集めることが多くなりました。若い世代を中心に、その見た目の派手さや可愛さが求められるようになったんです。全くの新しいものと言うよりは、既存のスイーツ類を時代に合わせたスタイルに改良した感じのものが多いでしょうか。ただ、そう言ったせいもあって、爆発的に知られるようにはなるものの、ブームとしては短めのものが多い印象ですね。

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・タピオカミルクティー
バブル期以降、”タピオカドリンク”類のブームは何度か起きておりまして。台湾や香港の屋台スイーツ、あるいは中華料理でデザートとして提供されるものなんかは、以前から知られてはいたんです。しかしながら、2010年代後半に生じた”タピオカミルクティー”ブームは、それまでとは比べ物にならないくらいに爆発的なものでした。とりあえず、世代を超えて老若男女全てが結構夢中になっていたりしましたね。”タピる”って流行語が出来上がるくらいに久々の本格的なスイーツブームとなりました。今はすっかり治まってしまいましたが、一時期は専門店なんかも乱立していました。

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・かき氷
こちらも”SNS映え”スイーツの代表格としてブームとなりました。見た目は勿論なんですが、味や食感も相当に改良されて、従来のものからはかなりバージョンアップされました。現在、専門店も多く登場しており、その人気は続いているようです。海外からいらっしゃった方達にも好評みたいですね。

さてさて・・ 今後はどんなスイーツ類が話題になるんでしょうか。どうにも少し残念なのは、あんこや餅なんかを用いた、所謂”和スイーツ”類がブームになることが非常に少ないことでしょうか。単品で言えば、”イチゴ大福”は近年定番化した”和スイーツ”だったりしますが、ブームと呼ばれるほどの大ブレイクはしていないんです。他ですと、抹茶フレーバーのスイーツ類なんかも、定番化はしたもののブームにはなっていませんし。一種の”社会現象”と呼べるくらいのブームって、体感すると非常に面白いですよね? 明らかに作られたブームとは異なる雰囲気が出来上がりますから。また、そんな大きなブームを引き起こすスイーツが現れることを期待しております。