現在、日本で食される肉類は主に牛肉、豚肉、鶏肉です。海外の料理文化にとても寛容なこともあって、その消費量はとかくまぁ、非常に多いんです。そのため、海外各国からの輸入量もとっても多かったりするんですね。価格が比較的安価であるために、需要が非常に多いんです。飲食店や一般家庭においても日常的に食されています。うーん・・ 実際のところ、国内産のものよりもその機会は多いかもしれません。
さてさて。食材に関する日本の品質基準や安全基準は、非常に高いことでよく知られています。肉類についてもまた然りと言うことでして。海外からの輸入肉についての品質/安全管理もとても厳しいんですが、国内産のものについては更に厳密なんです。とりわけ、ブランド名(銘柄)が付けられているものは特に厳密だったりするんですね。この記事では、そんな日本の”ブランド肉”についてご紹介しようと思います。あ、一応”ブランド肉”とは・・って言う定義のようなものをご説明しておきますと。牛肉、豚肉、鶏肉それぞれ異なるんですが、基本的にはそれぞれのブランド名(銘柄)ごとに定められた飼育種類や飼育環境/条件、品質/安全基準を満たしていることが保証されている、って感じですね。たとえ同じ地域で飼育された同品種のものであっても、定められた飼育環境/条件や品質基準を満たしていないものはそのブランド名を付けることはできません。ブランド牛肉なんかはかなり厳密な定義付けがされていたりします。元々、日本では肉類はそれほど一般的な食材ではなかったんだそうです。牛や馬は専ら農耕作業や運搬作業に用いられていたため、食する習慣はありませんでした。豚は現在のような品種は登場しておらず、野豚(イノシシ類)も地方を除いて一般的な食材ではなかったようですし。野鳥類やウサギ等は主に内陸部の地域においては比較的昔から食されていたようですが、鶏(ニワトリ)は基本的に卵の採取のために飼育されていたようですね。牛肉、豚肉、鶏肉が一般的な食材として日本の一般的な食文化に取り入れられるようになったのは、明治維新以降と言われています。欧米の食文化の到来によって、まぁ、”気づいちゃった”って感じですね。こうして、国内でも本格的に食肉用の牛、豚、鶏の飼育が始まりました。現在、国内各地の特産品となっているそれぞれの”ブランド肉”が生み出されていったのは、更に後のことで、第二次世界大戦後です。国内各地で飼育されている牛や豚、鶏のブランド化は、各地方の特産品産出にとても有効だったようでして、近年は非常に多くの”ブランド肉”が知られるようになりました。とは言え、やはり品質が良くなければ、特産品として定着していかないわけですが・・ まぁ、そこはそれ、良質なものは着実にその知名度を上げていっているようです。
ブランド牛肉
“ブランド牛肉”として流通しているものは47都道県ごとにあります。現在、およそ200種類もあるんだとか・・ 日本三大和牛とされている近江牛、松坂牛、神戸牛は海外でもよく知られていますね。それぞれの”ブランド牛肉”について定められている主な基準としては、品種と性別、肥育地、更に肉質等級や歩留(ぶどまり)等級と言ったものがあります。他にも、飼育時期/期間、飼料等が定められているものもあったりします。
※ 肉質等級:①脂肪交雑(霜降の度合い)、②肉の色と光沢、③肉の締まりとキメ細かさ、④脂肪の色沢と質 の4項目について等級付け(5段階)したもの。
※ 歩留等級:素材量から商品として用いることができる製品量の割合(素材が高品質であるほど等級値(3段階)が高くなる)
ブランド豚肉
“ブランド豚肉”について定められている基準は、主に品種と餌、飼育環境です。日本における豚肉の消費量は牛肉よりも多いこともあって、”ブランド豚肉”の種類は”ブランド牛肉”の数を大きく上回り400種類以上あります。有名なもののごく一部を挙げますと、かごしま黒豚、沖縄あぐー、ローズポーク、プラチナポーク等々・・ 日本国内で流通している豚肉の等級は一般的に、極上・上・中・並に分けられています。更に定められた解体方法を用いて成形された枝肉(血液・皮・頭部・内臓等を除去して背骨から2分割した半円状の肉)について、背脂肪の厚さ、外観、肉質によって等級付けがされます。
ブランド鶏肉
日本国内に流通している鶏肉は、ブロイラー、銘柄鶏、地鶏の3種類に分類されます。飼育日数が短期間である一般流通している国産鶏肉(ブロイラー)に対して、与える飼料を特別なもの(ハーブ等)にすることで付加価値を付けたものが銘柄鶏。種別的に国内在来種の混血率が50%以上のもので、飼育日数を長く、飼育環境(飼育小屋の造りや飼育密度)にルールが定められたものが”地鶏”と呼ばれます。”ブランド鶏肉”とされるのは、銘柄鶏、地鶏ですね。特に地鶏については、比内地鶏、名古屋コーチン、薩摩地鶏なんかが非常によく知られています。
日本の”ブランド肉”は海外の方達にも好評だそうですが、その違いにかなり驚かれる方も多いんだとか。日本の”ブランド肉”として知られているものの多くは、大体次の三点が共通した特徴だったりします。
・脂の乗りが良い
・肉独特の臭みが少ない
・柔らかい
コレらは牛肉、豚肉、鶏肉のいずれにも共通して当てはまる特徴と言えるでしょう。ただ、肉類の好みもやっぱり人それぞれですよね? 脂身の少ない肉々しいのが好みの人もいれば、脂の良くのったものの方が好みの人もいます。噛み応えがあるものが好きな人もいれば、柔らか~いのが好きな人もいますし。肉ならではの香りや味が好きな人もいれば、そうでないものが好きな人もいますし。ですから、肉類がお好きな方全てが必ずしも日本の”ブランド肉”を美味しいと思われるかどうかは分かりませんが、機会がございましたら是非一度お試し下さい。一見の価値・・じゃなくって一賞味の価値は絶対にありますので。