地理条件的に国土が海に囲まれた日本では、沿岸地域や離島では特に海藻は貴重な食物でした。農地に用いるための平野部が狭いですから。海の中に何か植物っぽいもんが生えてる→よし、食してみよう!ってなるのは、至極当然だったんでしょう。地上の食用の植物類と比較すると、ビタミン類こそ少ないものの、ミネラル分や食物繊維は非常に豊富ってことで、古来より貴重な食物だったわけです。ただまぁ、思いの外、食用に適した種類は少ないんです。後、海中に生息しているものですから、いざ食べるとなるとそれぞれ下処理が色々と必要なんです。洗ったり、湯がいたり、煮出したり、干したり・・ 先人達による数々の試行錯誤が伺えますねぇ。あ、でも現在市場に出されているモノの大半は面倒な下処理やらは済んでいますからご安心を。簡単に料理に使えますよ?
日本で食用として流通している海藻類の代表的なものをご紹介しておきますね? いずれも和食の食材として用いられることが非常に多かったりしますので、目にされる機会も多いと思います。まぁ、まずは一度お試し下さい。
・海苔
“すし”の巻物で用いられる食材としてお馴染みですね。アレ、その形状から”板海苔”って言います。生海苔を”紙漉き”の要領で薄い紙上に伸ばして乾燥(炙る場合も有り)したものです。ちなみに、海苔の調理方法は他にもございます。汁物なんかの具材として入れる以外に、佃煮(砂糖、しょうゆ、みりん等で煮詰める調理方法)なんかにもします。この海苔の佃煮、結構海外の方に好評なんだとか。ご飯のおかずにイイですよ?
・ワカメ
味噌汁をはじめとする汁物や煮物、酢の物なんかの具材として広く用いられます。海外では海藻サラダとして食すのが好評のようですね? 手軽に保存/利用可能な乾燥ワカメなんかも商品化されておりますから、各家庭でも食する機会は非常に多いと言えます。ちなみに、岩なんかにくっついているワカメの根っこ部分は”めかぶ”って呼ばれておりまして、こちらも食用として流通しています。刻んで味付けされてパッキングされたモノも多いですね。とってもネバネバしてます。納豆やオクラ、山芋等のようなネバネバ食材が好きな方にはオススメです。
・昆布
煮物や汁物、佃煮なんかの具材として昔から用いられてきた食材です。おせち料理の一つ、”昆布巻き”なんかはよく知られてますね。忘れてはいけないのが、”だし”を取るための食材としての利用でしょう。和食文化にはなくてはならない食材と言っても過言ではないかもしれません。
・もずく
酢の物や天ぷらなんかが人気です。前者は調理済みでパッキングされたものが広く流通しています。
・ひじき
煮付や天ぷら、海藻サラダとして食されます。昔から、長寿を願う”験かつぎ”の食材とされてきました。実は、現在国内に流通しているものの9割くらいは中国や韓国からの輸入品になっていたりします。
・天草
オゴノリとも呼ばれます。”寒天”や”ところてん”の材料として知られている海藻類です。海外でも食されている機会が最も多い海藻類と言えるかもしれません。
海藻類を食材としてきた国や地域は、世界的に見ても少ないようですね? 欧州ではスコットランドやアイルランド、南米ですとチリの一部地域くらいだとか。近年は、世界的な健康食材人気に伴って、海外各地でも海藻類は注目されるようになってきているようです。まぁ、全体的に地上の野菜とは食感や風味が異なりますから、どうしても好みが分かれるとは思いますが・・ 昔とは違って、保存技術も飛躍的に上がりました。基本的には乾物として市場に出されていることが多いでしょうか。日常的に用いることが容易になっておりますからオススメです。お気に召して頂ければ何よりです。