近年、健康食品が人気ですよね? “各種ビタミンが豊富”とか、”低脂質”、”低カロリー”等々の健康促進をうたい文句にした食品が多く見られるようになりました。今回取り上げる”こんにゃく”は、そんな健康食品の特徴をがっつり兼ね備えた食材の一つと言えます。低カロリーで、かつ食物繊維が豊富と言うことで、現在では海外でも人気です。”こんにゃく”は、コンニャクイモと呼ばれるサトイモの一種が原材料になっています。その成分の大半は90%以上が水分、残りのほとんどは炭水化物です。ただし、この炭水化物にあたる成分はグルコマンナン(コンニャクマンナン)と呼ばれる多糖類で、人間の消化器官ではほとんど消化吸収されないのだそうです。そのため非常に低カロリーなんですね。やはり大陸から伝えられた食材と考えられているのですが、大陸においても中国や東南アジア等の一部地域で食されていただけのようで、あまり食材としてはメジャーではなかったようです。日本には、6世紀頃に仏教文化と共に伝わって来たそうですが、どうやら当時は薬の一種とされていたとも。食物繊維を豊富に含むため、整腸剤として扱われていたと言われています。その後、食用とするための研究が重ねられて、所謂”精進料理”において非常に活用される食材になったわけですが・・

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さてさて。現在、私達が食している”こんにゃく”の製法に関してですが、これがまたなかなか特殊なんです。コンニャクイモの球茎部を加熱処理してゲル状にしたものに水酸化カルシウム水溶液を加えて固化するんです。かつては、水酸化カルシウム水溶液の代わりに灰を水で溶いて用いていました。原材料となるコンニャクイモは、生食厳禁の代物なんですね。”下茹で処理”必須です。そもそもが、生の状態だとちょっと触ったりしたらカブれたりするものを何とかして試食しようって発想がスゴいな・・と思ってしまいます。そんなこんなで試行錯誤の結果、先人達は灰汁を混ぜ込んで煮炊きすることで、現在の”こんにゃく”と言う食材を生み出すことに成功したってわけです。まぁ、灰は古くから世界中様々な分野で活用されていたとは言え、現在の科学知識がまだ確立されていない時代に”食”の分野でこんな用い方が発見されてたって言うのは驚きです。先人達の”食”への探求心に感謝すべきですよね?

先人達の試行錯誤の結果、現在では色んな種類の”こんにゃく”があります。そのいくつかをご紹介しておきましょう。

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・糸こんにゃく
関東地方では”白滝(しらたき)”って呼ばれることも多いですね。その名の通り、糸状のこんにゃくです。かつては、板状のこんにゃくを細切りする製法も用いられていましたが、現在は細い穴から押し出す製法になっております。麺状の見た目から、近年は麺料理の麺の代用品としての需要も多くなってます。欧米なんかではパスタの代用品として用いられることもあるとか。より食感や風味を近づける開発は現在も続けられています。

・粒こんにゃく
粒々状のこんにゃくです。そのまんまですね。お察しの通り、こちらはお米(ご飯)の代用品として開発されたものです。健康食品としての”こんにゃく”商品は今後も色んなものが現れそうですねぇ。

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・刺身こんにゃく
こんにゃくの主成分であるグルコマンナンを精製したこんにゃく粉を用いることで、臭みやあくが非常に少なく、生食できるようにしたものです。精進料理において、こんにゃくは肉や魚の代用品としても研究されたと言われているんです。やはり、製法や調理方法によって、食感が特徴的に変わる食材でしたから。薬味入りの醤油や酢味噌なんかを付けて食べます。

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・玉こんにゃく
ファストフード、あるいは菓子の一種として扱われてきました。まぁ、玉状のこんにゃくですね。濃い目の味付けで煮つけたものがよく食されます。山形県なんかの郷土料理として有名なものも。

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・凍みこんにゃく
こんにゃくを一度冷凍した後、解凍すると含まれていた水分が抜けてあのプルプル食感が完全になくなります。独特の食感が生まれるんですが、まぁ、その工程を敢えて施したものがこの”凍みこんにゃく”です。料理の食材として用いられる他、洗顔用スポンジとしても用いられます。

・こんにゃくゼリー
ゼラチンや寒天の代わりにこんにゃくを用いたゼリーです。商品として一般市場に登場した際は、とっても画期的で話題になりました。現在もとても人気です。”こんにゃく”初体験の方達にもお勧めです。