「お餅」の記事でご紹介した通り、古来より米食文化を有してきた日本において、餅はかなり昔から食されていました。まぁ、元々は神様にお供えする神饌の一つとして扱われてきたように、神聖で貴重な食べ物、縁起の良い食べ物と考えられておりましたので、常食されるものではありませんでした。当然、一般庶民にとってはより一層特別な食べ物だったわけです。そのため、古来から存在していた食べ物であるにもかかわらず、”餅菓子らしきもの”を食した云々と言った記録が残されているのは結構後になってからのことでして。平安時代の貴族階級や、鎌倉時代以降の武家なんかで食された、と言った記録ですね。餅がお菓子として食されるようになった、あるいは、餅を用いたお菓子が売り出されるようになったのは、お察しの通り江戸時代になってからでした。一般庶民が明確に”お菓子”として何かを食するようになるって言うのは、食文化の変遷において非常に大きな出来事ですよね? それまでとは打って変わって、随分と豊かな時代に移り変わったってことなんでしょう。

そうして生み出された”餅菓子”は実に様々でした。詳しくは「お餅」の記事をご覧頂ければと思いますが、”餅菓子”が他の和菓子と違う点は”甘味”ではないお菓子としても広まったってことでしょう。”あられ”や”煎餅(せんべい)”、”揚げ餅(かき餅)”なんかがそれですね。実のところ、これらはもっと以前から”米”を用いた料理として食されたりしていたんです。しかし江戸時代以降、お菓子として食する文化が出来上がったわけです。”お菓子を食する”って言うのは、娯楽の一つです。あくまでも日々の重要な”食事”として食していたものを、”お菓子”として食するって言うのは、かなり価値観が変化したとも言えるでしょう。そう言う意味では、この”餅菓子”は和菓子の中でも少し特別なものと言えるかもしれませんね。

団子(だんご)

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穀物類の粉を水や湯を加えて丸めたものを、蒸すor茹でるなりの加熱調理をしたものです。作り方が一部異なるため、餅とは別のものとされていますが、種類によっては餅の一種と捉えて頂いてもいいかもしれませんね。あ、ちなみに、串が通されてない”団子”もあります。餅と同様、”団子”も神饌として扱われていたりしました。つまり、かなり歴史のある料理と言えるでしょう。やはり元々は食事として扱われていたんですね。やがて江戸時代に入って以降、お菓子としても食されるようになりました。尚、お菓子として食されるようになる以前から、その味付け方法は餅と同じようなものが非常に多かったようです。うん、やっぱり餅の一種ですね。”団子”って。まぁ、敢えて定義するのであれば、”丸める”と言う工程を踏まえていることが”団子”の絶対条件でしょうかねぇ。