餅粉を水で溶いたものを熱して、それを練ったものを型に入れて薄く押し焼いて作られる皮に”餡”を挟み込んだりして作る和菓子の一つです。”餡”には、「餡子(あんこ)」の記事でご紹介した各種”餡”を用いる外に、餅や求肥を混ぜ入れたりしたものを用いたりもします。(※求肥(ぎゅうひ):白玉粉、あるいは餅粉に砂糖や水飴を加えて練りあげたもの)こちらも、各種和菓子の原型が数多く生み出された江戸時代に考案されたと言われています。特徴はやはり、あの皮でしょう。アレ、”最中種(もなかだね)”とか”皮種(かわだね)”って言います。ウエハースやゴーフル、ガレットと言ったものとは、また違った独特の食感です。最中菓子はご当地お菓子として日本各地にありますので、お試し頂ける機会は多いでしょう。銘菓として知られているものもたくさんあります。
最中菓子の開発において、とても重要視された課題の一つ。それは、ある程度水分を含んだ”餡”を挟むことによって、どうしても失われてしまう”最中種”のさっくりした独特の食感をいかに残すかってことでした。”最中種”、”餡”それぞれに工夫を重ねることで、その独特の食感を残そうとしたんですね? 勿論、”餡”の水分によって、少ししっとりした”最中種”の食感を好む方もいたんでしょうし、むしろそのちょっと湿った”最中種”の食感があってこそのものも作られたりしたわけですが。最中菓子の食感を言葉で上手く説明するのは本当に難しいんです・・ それこそ、実際に食して頂かないとご理解頂けないかもしれません。とにかく、非常に繊細なお菓子なんですよ?
アイスモナカ
上述したような試行錯誤の結果、とんでもない最中菓子が生み出されました。今やとっても一般的なものになっている人気の最中菓子の一つ、”アイスモナカ”です。その名の通り、”最中種”にアイスクリームを挟んだだけのシンプルな造りのものなんですが、コレがとっても”ウマー”な逸品でして。商品によっては、アイスクリームが挟み込まれているとは思えないくらい、サクサクの食感が残されているんですよ? 是非是非、お試し頂ければです。
“最中(もなか)”の名前の由来
諸説あるそうですが、一説によれば、”最中(もなか)”はある和歌が由来になってるとか。宮中にて催されていたある月見の宴で、白くて丸い餅菓子が出されたんだそうです。宴に参加していた公家方がその菓子を見て、”拾遺和歌集”に収録されていた源順の歌にある”もなか”という言葉を引いて、”秋のもなか”に見える月のようだと言ったんだとか。で、江戸時代に考案された最中菓子を売り出す際に、そのエピソードになぞらえて”もなかの月”と名付けた・・ その元となったとされる源順の和歌がこんなのです。
池の面に照る月なみを数ふれば 今宵ぞ秋のもなかなりける
訳:揺らめく池の面に映る月を眺める内にいくつも日が過ぎて行ったものだ。嗚呼、今夜はもう季節も深まって秋の真っただ中だなぁ。
何とも風流な名前の由来だと思いませんか? そのネーミングセンスたるや・・ 実に羨ましいものです。お月見やお花見と言った様々な娯楽が上流階級の人々だけのものではなくなった江戸時代。世の中が平和になって、町民文化が花開いた時代だったわけです。こう言うエピソードを聞いて、素敵だな~って感じられるくらいに一般庶民の感性もきっと豊かだったんでしょうね~