発酵食品って、世界各国/各地域に実にたくさんありますよね? その過程は様々ですが、全世界で共通して生み出されている発酵食品と言えば、”お酒”でしょうか。原材料も様々、風味やら見た目やらも色んなものがあったりしますが、共通しているのは、この発酵食品を世界各国/各地域の人々が気に入ったってことでしょう。風味や見た目やらも全部含めて気に入ったかどうかは分かりません。しかしながら、少なくともこの”お酒”と言うものを大多数の人々が飲み物として好んだわけです。で、その製造方法を後世へと伝えていき、様々に工夫されていったと。”お酒”はそんな発酵食品の中でも最も世界中の人々の嗜好に合ったものと言えるかもしれません。発酵食品は風味や見た目やらが独特のものが多かったりします。ですから、世界各国/各地域で生み出された発酵食品には、それぞれの文化圏の人々ならではの”好み”の傾向のようなものがよく表れているんじゃないかと思うんです。それゆえに、それらについて色々知っていくほどに、とても面白いんです。あー、ただし、気に入るor気に入らないってことは別にして、ですが・・
日本において、大豆は紀元前1000年以上前の時代から栽培されていた作物の一つです。お米(稲)と同様、非常に歴史が長いものなんですね。おそらく、はるか昔の先人達はきっと焼いたり、煮たり、潰したり、捏ねたり・・って感じに、その調理方法を試行錯誤したんでしょう。さて、今回お話しするのは、この大豆から作られる日本の代表的な食品”納豆”についてです。御多分に漏れず、起源についてはぶっちゃけよく分からないんです・・ 日本で生み出されたものなのか? それとも、大陸経由で伝わって来たものなのか? イマイチはっきりしないんですね。ただ、この”納豆”。うーん、”納豆らしきもの”、つまりは大豆を発酵させた食材って言った方がより正確ですが。実のところ、この”納豆”に類似する食品は日本以外の国や地域でも昔からあったようです。東アジア、東南アジア地域。他にもアフリカなんかでも、結構昔っから食されていたんだとか。いずれの地域におけるこの”納豆らしきもの”も、たぶん元々は偶然生み出されたものだったんでしょう。たまたまイイ感じに食することができるくらいの塩梅に発酵したソレを、勇気ある誰かしら、あるいは好奇心旺盛な誰かしらかが食してみた。で、きっとある意味で”舌の肥えた”誰かしらがソレを「美味しい」と思った・・ いや、もっと単純に、「これは食べられる」って思っただけかもですが「(゚Д゚;) まぁ・・ そんな具合に、”豆類を発酵させた食品”って言う食文化は世界各地域で生まれたんじゃないかと。日本でも、”納豆らしきもの”はおそらく紀元前から食されていたって言われています。でも、今日一般に食されている”納豆”の大元は、やはり大陸から伝わって来たって説が有力みたいです。中国において、古来から食されていた”豆豉(トウチ)”って呼ばれるものです。中華料理の調味料としてよく知られてますね。現在知られている”納豆”よりも、”味噌”の方がよく似たものだったみたいで、この”豆豉”は、8世紀頃には日本に伝えられていたようです。当時かなり高価な食材とされていたようで、あくまで貴族等の上流階級の間でのみ知られていたものでした。この”豆豉”を元にして、日本でも”納豆らしきもの”が研究されたみたいですね。ちなみに、大豆を”納豆菌”で発酵させたものが”納豆”なんです。ですから、”豆豉”をはじめ、海外の各国/各地域に見られる”納豆らしきもの”は、それぞれ別のものなんです。果たしていつどこで現在の”納豆”を生み出した”納豆菌”が発見されたのかは謎なんだそうです。ある程度、一般に”納豆らしきもの”が食材として知られるようになったのは、日本が公家社会から武家社会へと変わってからのこと。この頃には、現在の”納豆”のように、ネバネバ~っと糸を引いている感じのモノになっていて、”糸引き納豆”って呼ばれてました。やがて、この”糸引き納豆”が日常食となっていったことにより、これらが一般的に”納豆”って呼ばれるようになったと考えられています。一応は”納豆菌”さえあれば、各家庭でも”納豆”は作ることができるんですね? そのため、各家庭で自家製納豆を作って食したり、それを売ったりって感じに一般庶民にも広がって行ったんです。まぁ、出来のほどは本当に日替わりだったようですが・・ 商いで扱う商品としては安定性に欠けていたみたいですね。やはり、鮮度や安全性が大切な食品でしたから。しかし、それでも江戸時代以降、”納豆”は庶民にとっても馴染み深い食材となっていきました。
と、まぁ、とてもざっくりと日本の”納豆”の歴史についてご説明させて頂いたわけですが。実のところ、全国的に日常食として食されるようになったのは、割と最近のことだったりするんです。第二次世界大戦後のことなんです。東日本地域ではそれ以前から、主に都市部やその周辺地域で常食されていましたが、西日本地域では比較的食されていなかったんだとか。西日本地域の人々には、どうやらあまり好まれなかったんですね? しかしながら、戦後の食糧難の状況下において”納豆”は非常に貴重な栄養食だったんです。また、その後の冷蔵技術/運送技術等の発展によって、近年になってようやく全国的な流通がされるようになったんです。更に、非常に健康食品として優れていることが知られるようになったことも全国的な日常食化につながったんですね。非常に独特な臭いと、あのネバネバ食感のせいで、まぁ、日本人の間でも好き嫌いが分かれたりする食品ではありますが。そんなネガティブ要素(勿論、あの臭いやネバネバ食感が好きって人もたくさんいるんですが)をはるかに上回る健康食品としての信用が”納豆”にはあるんでしょう。近年、”納豆”の消費はとても高まってるんです。市販されている商品も種類が本当にたくさんあります。大手メーカー製造のものから、国内各地域で製造されているご当地商品等々、かなり種類は豊富です。臭いの軽減や食感の改善に注力したもの。調味料を工夫したもの。栄養強化や発酵方法の工夫等により健康食品としての機能強化をしたもの等々・・ スーパーマーケット等の食品売り場にいらした際は探してみて下さい。それ用のコーナーがあったりしますよ?
“納豆”の食べ方について
基本的には、薬味(ネギやシソ、海苔等)と調味料(醤油やだしつゆ等)を混ぜ込んでそのまま食べるのが定番です。ご飯と一緒に(ご飯に乗せたりも)食べられることが多いですね。”納豆”そのものの風味や食感をそのまんま楽しめるのは、おそらくこれらの食べ方でしょう。前述した”糸引き納豆”が一般に広まっていった当初の頃は、主に”納豆汁”と呼ばれる汁料理にして食べられていたようです。ご飯のおかずとして食されることが定番化したのは、江戸時代以降と言われています。最近は、様々な料理のトッピング用の具材としてもよく用いられるようになりました。和洋問わずです。大元になった”豆豉”が調味料だったことを考えれば、”納豆”も調味料の一種として用いても、まぁアリですから。ピザやトースト類、お好み焼き、オムレツ、カレーライス、サラダ類。蕎麦やうどん、パスタ等の麺料理。寿司や丼ものなんかでもよく見られますね。あまり具材として用いられないのは煮物料理くらいでしょうか。理由は単純で、他の具材を含め料理全体が”納豆っ!!!”って感じになっちゃうからですね・・ やはり、あの非常に独特な臭いと、ネバネバ食感はどうしても好みは分かれるでしょう。所謂、”珍味”ってものかもしれません。大好物っておっしゃる方もちゃんといらっしゃるんですよ? ですから・・ 取り敢えず、未体験の方やご興味のある方は一度はお試し下さい。ひょっとしたら、ひょっとするかもですから。