世界各国/各地域において、それぞれ主食となる穀物類ってありますよね? 米類、麦類、芋類なんかが主だったところでしょう。非常に面白いのが、やはりそれぞれの食材の調理方法です。特に米や麦の類・・ あの細かな実(種子)状のものの皮をむいて中身を取り出して、それらをそのまま蒸したり茹でたり。或いは、実から取り出した中身を粉状にしたあとで水で練ったりしたものを、細長くしたりちぎったり丸めたりして、それらを蒸したり茹でたり焼いたり干したり・・ よくもまぁ、そんなことを考えたものです・・ どうにかしてこの何だかよく分からない実みたいなものを美味しく食べれないものか・・ 意地でも美味しく食してやるっ!って感じに試行錯誤してたのかな~?なんてことを想像するととても面白いですよね?
“お米”の場合、その基本的な調理方法は”炊く”とか”蒸す”、”茹でる”って感じです。この基本的な調理方法が出来上がった後なのか、それともそれを考案する過程の中でなのかは諸説あるようですが・・ たぶんある時、誰かしらがこんな方法を試したんですね?
“お米を蒸したものをすり潰してみよう~♪”
→「お餅」が完成しちゃいました・・v( ̄▽ ̄;)/~
割とホントにこんな感じなんじゃないかと思いますが。
さてさて、”お餅”には大きく分けて二種類あります。”お米”を蒸したものを杵等で搗いて作られる”搗き餅(つきもち)”と、”お米”を粉状にしたものに湯を加えて練って蒸し上げて作る”練り餅(ねりもち)”です。(”団子”は”練り餅”の一種ですね)因みに、日本の”お餅”は普通の”お米”を使うわけではなく、特に粘性の高い種類(”もち米”って呼ばれます)を使います。”お餅”は日本の文化においては、よく縁起物の食材の一つとして扱われてきました。神事なんかでも”神饌(しんせん)”として用いられたりもしますし、儀式/儀礼の一部として”お餅”を作る行事、所謂”餅つき”が組み込まれてたり。日本のお正月に見られる”鏡餅”なんかはいい例でしょう。前述のとおり、日本においては”お米”って本当に貴重な食糧だったんです。正に”富”そのものだったわけです。”お米”一粒一粒は小さいものですので、まぁ、それを何かこう一つのでっかい塊にすることで、より一層ありがたみが増すって気持ちがあったのかもしれません。
まぁ、そんなこんなで色んな歴史やらが含まれているだけに、”お餅”は人気の食材です。海外の方にもかなりご好評のようですね。スイーツなんかでもよく扱われてたりしますので、お気軽にお試し頂けると思います。あ、くれぐれも喉に詰まらせないようにご注意を。真面目な話、油断すると本当に危険な食材の代表だったりしますので。
鏡餅
日本では、年末年始(大体12/28~1/11くらい)に”歳神(穀物神とも)”へのお供え物として、古代の鏡(円状)を模した丸餅を”床の間”等に飾ります。”鏡餅”はお供え物であると共に、この”歳神”の”依り代”としての役割を持ちます。基本的な様式としては、大小二つの丸餅を重ねて、更にその頂上に橙(だいだい)を載せたものです。お正月が明けた後、神前から下げた”鏡餅”は木槌などで小さくして(”鏡開き”と呼ばれます)から調理されます。尚、武家社会の風習のせいもあって、”鏡開き”では刃物の使用は基本的に避けたりします。また”割る”、”分ける”、”切る”のような表現は縁起が悪いとのことから、あくまで”開く(末広がりの意味も含めて)”と表現されます。
「ヤキモチを焼く」
妬んだり、嫉妬したりする様を表す日本語の言い回しとして、「ヤキモチを焼く」っていうのがあります。誰かしらを妬んだりした際に、プクぅと頬を膨らます表情が、まるでお餅を焼いた際にお餅が膨らむように見えるってことで、それになぞらえたわけですね。妬んだり、嫉妬したりしやすい人を指して、「ヤキモチ焼き」なんて言い方もあります。嫉妬する事自体を「ヤキモチ」って言う場合も。誰かしら何かしらに嫉妬すると、カ~っと頭に血が上って熱っぽくなります。日本語では、嫉妬することを表す「妬く」って単語とお餅を「焼く」って単語は読みが同じってことに掛けている言葉でもあるんです。なかなか秀逸な言い表し方だと思いませんか?
代表的な餅料理/餅菓子
お雑煮
汁物料理に焼いた餅を入れた料理です。日本では特にお正月に食べられることが多いです。一般によく知られた料理であるため、各地方毎/各家庭毎のバリエーションが非常に豊富です。郷土料理と深く結びついたものも多かったりします。
お汁粉(おしるこ)
小豆に砂糖を加えて煮た汁に餅(or焼き餅)を入れた料理。餅の他に白玉団子や栗の甘露煮が用いられることも多いですね。関西地方では、”こしあん”を用いたものを”おしるこ”、”つぶあん”を用いたものを”善哉(ぜんざい)”と分けて呼称されます。”牡丹餅(ぼた餅)”同様、その調理方法が容易なことから”振舞いもの”の一つとしても親しまれてきました。
牡丹餅(ぼた餅)
米を米粒の形が多少残るくらいまで搗いた餅状のものを”つぶあん”で包んだ餅菓子の一種。その形状が、”牡丹”の花に似ていることからその名がついたと言われています。”牡丹餅”を作る際の米については、”もち米”と”うるち米”を混ぜたものを用いる場合と、あるいはいずれか一方のみを用いる場合があります。一般の各家庭でも作ることが容易であることから、”田植え”や冠婚葬祭の儀礼/儀式等のように周辺の住民に何らかの助力を得た際の”振舞いもの”として一般庶民にも親しまれてきました。また、神仏へのお供え物としてもよく用いられてきたりもしました。日本のことわざの一つに、”棚からぼた餅(たなぼた)”(”思いがけない幸運が舞い込んでくること”)なんてものがあります。”たなぼた”のように、略語化されたことわざが広く用いられていることは結構レアなんです。”牡丹餅”が庶民にも広く親しまれた結果の一つとも言われています。
お萩(おはぎ)
作り方や形状は”牡丹餅(ぼた餅)”とほぼ同じと言える餅菓子の一種です。呼び分けの基準は諸説アリ(その数はキリがないくらい。しかし、納得のいくものが多く、おそらく全部正解かも)。一般的によく知られている説としては、その形状が”牡丹”の花と同様に、”萩”の花が密集して咲いている様に似ていることから、と言うもの。”牡丹”は春が見頃とされる花であるのに対して、”萩”は秋の花として知られています。日本では、春と秋には”彼岸”と呼ばれる暦日があり、祖先の霊を慰める儀式/儀礼が執り行われることが多いんです。一般的には所謂”お墓参り”をする時期であり、それらの際のお供え物としてこの餅菓子がよく作られていたんだとか。で、おそらく全国各地で誰かしらが「秋に”牡丹餅”って呼び名は変じゃね?」的なことを言い出して・・ 割とありそうで、結構納得がいく説ですね。
菱餅(ひし餅)
“桃の節句”と呼ばれる”ひな祭り”(一般的には3/03)の際に、雛人形と共に供えられる菱形状の餅菓子。桃色/白色/緑色の三色のものがよく知られていますが、二色/五色/七色等のバリエーションがあります。あくまでもお供え物ですが、基本的に食べて可です。
紅白餅
慶事/祝事の際に神仏へのお供え物や、その儀式/儀礼に参加した人々への”振舞いもの”として作られます。日本では”紅白”は縁起が良いとされることからですね。ちなみに、餅を”紅”に着色するのによく用いられてきたのは”山梔子(くちなし)”の実。解毒作用があることで知られていたことから、山梔子の実で着色された紅い餅は”健康祈願”の意味合いもあったと考えられています。
大福餅
餡を餅でくるんだ餅菓子です。餡は小豆あん(こしあん/つぶあん)、栗あん、芋あん等々。現在では、そのバージョンアップ版、もしくは謎改造版とも言えるものが多数あります。”いちご大福”や”豆大福”、”草大福”は超オススメです。
桜餅(さくら餅)
日本の春の花を代表する”桜”にちなんだ餅菓子。江戸時代中期(1600年代)くらいに考案されたとのこと。実は、関東地方と関西地方で作り方や形状が異なります。関東地方では、白玉粉や餅粉、上新粉等を練ったものを薄皮状にして小豆あん(こしあん)を包んだものを塩漬けにした桜の葉で巻きます。関東地方の”桜餅”は特に”長命寺”とも呼ばれます。小豆あんを包む薄皮は必ずしも着色しなくても良いのだとか。一方で、関西地方のものは、”道明寺”とも呼ばれます。蒸して粗目に搗いたもち米(”道明寺粉”とも呼ばれる)で小豆あん(こしあん)を包み込んだものを塩漬けした桜の葉で巻いて作ります。こちらは基本的に餅を着色する模様。
柏餅(かしわ餅)
“端午(5/05)”の節句のお供え物として作られる餅菓子の一つです。餅で小豆あんを包み込んで、柏の葉でくるんだものですね。柏の葉が用いられるようになった理由としては、柏は葉っぱの生え変わりの際に新葉が生育するまで古い葉が落ちないことから、”家系繁栄(子孫繁栄)”の縁起を担いだと言われています。
ちまき
もち米、もしくはうるち米等で作った団子を笹や竹の葉で包んで蒸したものです。”端午(5/05)”の節句の供物として知られています。近代では、5/05が”こどもの日”とされていることから、その健康と成長を祈願して”ちまき”を食べる習慣が出来上がったんだそうです。砂糖等で甘味が付けられる場合もあります。
五平餅(ごへい餅)
うるち米で作った餅を木の棒に挿して平べったくしたものに甘辛い味噌を塗って焼いたもの。神事において神前にお供えされる”御幣(ごへい)”の形状を模したことから、その名が付いたとも言われています。中部地方(本州の内陸地域)における代表的な郷土料理の一つです。おいしいですよ~♪
葛餅(くず餅)
小麦粉の澱粉質を乳酸発酵したものを蒸し上げたものが本来の”葛餅”なんだそうです。葛粉を水で捏ねて作る場合もあります。現在ではジャガイモ澱粉を原材料にしているものが多いんです。実際に食べ比べると、結構味や食感が異なりまして・・ きな粉や黒蜜等をまぶして食べます。
わらび餅
わらびの澱粉を捏ねて作った餅。きな粉や抹茶、黒蜜等をまぶして食べられます。”葛餅”同様、800年代後半くらいには作られていたと思われる記録が残っておりまして、実は結構歴史のある餅菓子の一つだったりします。ただ、やっぱりすっごい高価な品だった模様。現在では、他由来の澱粉を原材料にしているものが多いですね。
○○餅Ⅰ
穀物類を煮たり蒸したりしたものを、搗いたり捏ねたりして餅状にしたものです。先人達は、大体いずれの穀物も餅状にしてみたらしいです。
○○餅Ⅱ
とりあえず、澱粉質が抽出できるものなら澱粉を抽出して、それを餅状にしたらしいです・・ その執念と言うか、情熱?は本当に尊敬に値すると思います。