蕎麦、うどん、ソーメン、冷麦、ラーメン、焼きそば、パスタ等々・・ 日本には非常にたくさんの麺料理があります。日本の代表的な食文化の一つと言ってもいいでしょう。それら日本の麺料理文化の多くは、元々は海外から伝えられたものです。味や香り、用いる食材等を日本人の嗜好に合わせて様々に工夫されることによって定着していったわけですね。まぁ、食文化に関しては昔から非常に寛容だった先人達のお陰で、海外から伝えられたそれらを本場のものに負けないくらいに・・或いは、本場のものよりも掘り下げてしまうこともしばしばだったりするのは、このサイトでも何度かご紹介させて頂いてますが。元々は海外から伝わった料理であるにも関わらず、日本人の嗜好に合うように試行錯誤を重ねた結果、本場のもの以上に多様化して色々と凝ったものが生み出された麺料理のひとつが”パスタ料理”です。そのせいもあって・・ “パスタ料理”にも色んな種類の料理がありますが、それらと同じ料理名として日本で知られているものの多くは、オリジナルのものとは異なったものにアレンジされてたりします。オリジナルのものをご存知の方が驚かれることも少なくないようですね。「美味しいんだけど、もはや別の料理だ・・」ってな具合に。そう言う意味では、本場の味やスタイルの料理をウリとしているお店を除けば、日本の”パスタ料理”はそのほとんどが”和風パスタ”と言っても過言ではないかもしれません。「( ̄▽ ̄;)そう言ったことを踏まえて頂いた上で、ですね? まぁ、そんな日本の”パスタ料理”の中でも、”和風”であることを強く意識して生み出されたのが”和風パスタ”なんです。今回は、そんな今日の”和風パスタ”が生み出されるまでをご紹介しようと思います。

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日本における”パスタ料理”の歴史をざっくりご説明させて頂きますと・・ 日本に”パスタ料理”が伝えられたのは江戸時代末期~明治時代初期くらいと言われています。当時の外国人居留地(長崎が最初だとか)なんかで食されていたんだそうです。ただ、一般庶民に”パスタ料理”がある程度知られるようになるのはもう少し後、全国的に近代化が進んだ昭和時代初期の頃でした。本格的に広く普及したのは戦後しばらくしてからのことなんです。”パスタ料理”には、マカロニ、スパゲッティ、ペンネって感じにいくつか種類がありますよね?ラザニアなんかもそうですね。日本人がぎゅっと強い興味を示した?”パスタ料理”はスパゲッティ類でした。蕎麦、うどん等のように細長い麺状だったために、おそらく馴染みやすかったんでしょう。そんなスパゲッティを用いた料理として、トマトソース(orトマトケチャップ)で味付けされたものがとても大流行したんです。現在でも”ナポリタン”と呼ばれ、広く親しまれている”パスタ料理”です。”スパゲッティ・アッラ・ナポレターナ”が元になっているようですが、調理方法も味もかなり異なるものであるにも関わらず大人気になったんですね。その後、”ボロネーゼ”が元になっているとされる”ミートソース”が登場して、日本には”パスタ料理”としてこの”ナポリタン”と”ミートソース”が全国的に知られるようになりました。高度経済成長期を迎え、各一般家庭の食卓の欧米化が急激に進んだことも大きな要因になったようです。この時期は、デパートの食堂やレストラン等でしか食べられなかったものが、一般家庭でも食することができるような商品が非常に多く生み出されていったんです。更にバブル期を経た1990年代。日本における”パスタ料理”の人気を決定づけたのが、”イタめし(イタリア料理)”ブームでした。1980年代、日本には”本場の味”をウリにした高級な洋食の専門店が多く現れ、それらが人気を博したんです。そんな中、どうやら”イタリア料理”を専門とするお店は、少しばかりリーズナブルでオシャレなイメージを持たれたようです。そしてそれらの”イタリア料理”の専門店で提供されていたのが”ナポリタン”や”ミートソース”以外の数多くの”パスタ料理”だったんですね。その結果、非常に多くの種類の”パスタ料理”が日本人に知られることになりました。ペペロンチーノ、ボンゴレビアンコ、カルボナーラ等々・・ “パスタ料理”の専門店もたくさん現れました。当然、新たに知られることになったそれらの”パスタ料理”も一般家庭でも食することができるように様々な商品が次々に開発されて、市場に登場していったと言うわけです。

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さてさて。非常に種類の豊富なこの”パスタ料理”。結果的に日本人の嗜好と非常に相性が良かったようでして・・ “パスタ料理”以外の日本における麺料理は、主に汁に浸かったものを食するか、つけ汁浸して食するスタイルのものでした。乗っかったソース具材を混ぜ込みながら食するスタイルのものは少なかったわけです。おそらく、日本人はその真新しさと調理のし易さ、そして食し易さに心惹かれたんでしょう。その後、日本では更に様々に商品開発が行われていったんです。そうして新たに生み出されたのが”和風パスタ”と呼ばれるジャンルでした。和食で用いられる調味料や食材を用いた”パスタ料理”です。まぁ、これらが結構好評だったんですね? 従来の主だったメニューの数々に決して引けを取らないくらいに。そのいくつかはすっかり定番化してしまいました。実際にお試し頂けば、定番化してしまうのも頷けるものも多かったりします。日本ならではのアレンジが施された洋食料理の成功例の一つと言えるでしょうね。

代表的な”和風パスタ”

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和食で用いられる調味料― 醤油やだしつゆ、味噌、或いは魚介類の塩漬け、漬物類なんかで味付けしたものが多いですね。具材に関しては、基本的にはやはり和食材が用いられることが多いですが、あまり明確な定義はございません。あくまでも”和風”、或いは”和っぽい”って感じの括りのようです。とは言え、”パスタ料理”は和食のどんな食材/調理方法とでも合うってわけではないようで、定番メニュー化しているものはやはり絶妙によくできています。ホントに。ここではその代表的なものをご紹介しておきますね?

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・タラコパスタ
“タラコ”はスケソウダラの卵巣を塩漬けにしたもので、日本では広く知られている海産物加工品の一つです。北海道は代表的な産地です。また福岡の”辛子明太子”もよく知られています。そんな”タラコ”の独特の味と香りを生かして、パスタに混ぜ込んだのが”タラコパスタ”です。薬味としてネギやシソ、海苔なんかをトッピングしたりします。”タラコ”をクリームソースと混ぜ合わせた”タラコクリームパスタ”っていう派生型のものもあったりします。非常に人気のある”和風パスタ”の一つです。

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・山菜パスタ/きのこパスタ
ワラビ、ゼンマイ、フキ、ウド、タラの芽、こごみ、キクラゲと言った山菜は昔から食されてきました。同様にしめじ、まいたけ、なめたけ、シイタケと言ったキノコ類も。そんな日本人にとっては非常に馴染み深い食材である山菜を用いたのが”山菜パスタ/きのこパスタ”です。味付けはだし汁や醤油のように和食でお馴染みの調味料を用いることが多いでしょうかね。薬味として大根おろしなんかを加えても美味しいですね。低カロリーでヘルシーなのも人気の理由の一つです。

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・納豆パスタ
日本ならではの食材”納豆”を用いたパスタです。茹で上げたパスタに納豆(切り刻んだものを使う場合も)をそのまま混ぜ合わせるスタイルのもの、或いは、併せて一緒に炒めたりする場合もあります。ネギやシソ、海苔を薬味として加えたりします。とってもヘルシーで栄養価も高いですが、かな~りクセのある香りがしますから好みが分かれるかもですね。