今回は、日本における”キャンプ”事情についてお話ししたいと思います。ここ数年、日本では急激にキャンプが注目を浴びました。キャンプをテーマにしたコミックやアニメ、またキャンプを趣味にする著名人等のWeb動画が人気を集めたんです。現代の人口の建造物や工業製品で溢れ返った日常空間から離れて、自然に囲まれた場所で時間を過ごすことに心惹かれる人達がたくさん現れたんですね?更にキャンプに興味を持つ人を増加させた大きな要因が、記憶にも新しい”世界的なコロナの大流行”でした。人が密集する場所を避けることが求められたコロナ禍において、不要不急の外出が難しくなりました。他人と直接顔を合わせることがないように基本的に各自宅で過ごさざるを得なくなったわけです。空気の流れが滞ることのない屋外で楽しめるキャンプは”ソーシャルディスタンス”を保つことが出来るレジャーとしてとても魅力的に映ったんでしょう。また、一人時間を過ごすことができる手段としても非常に関心を集めました。

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それまでの日本では、キャンプのような屋外泊を楽しむレジャーはそれほど流行ったことがなかったんです。まぁ、主な理由としては地理的な要因が大きいでしょうか。四方を海に囲まれた、火山列島ってことで平地が狭い・・ つまりはキャンプに適した雄大な大自然的な場所がないんです。日本の場合、その国土の大半は山岳地帯か海岸なんです。山岳地帯の森林はそのほとんどが人口樹林で原生林はごくごくわずか。海岸地域は平野部ですから、基本的に人が密集している都市部にあたるわけです。で、国土自体が小さいですから、長期間にわたって移動する必要性もない・・ 勿論、どんな地理環境であろうとキャンプをすることはできるわけですが。大多数の日本人のキャンプについてのイメージは、おそらく広い大自然を移動しながら、その途中で行うものだったんですね? こう、人工物の何もない広大な荒地的な風景に囲まれた地でポツネンとした感じで。イメージするキャンプができる場所が元々なかったんです。その結果、日本でキャンプをするとなると、河川沿いや湖畔、海岸なんかで、って感じだったんです。後は設備の揃ったキャンプ場とか。まぁ、そんな具合でしたが、コロナ禍と言う状況も相まって、キャンプは現代の日本人の注目を集めたわけです。その結果、キャンプ用品を扱う専門店や大型商業施設のアウトドアグッズのコーナーは急激に人気になりました。ちょっとした宿泊なんかができる小型の自動車なんかの需要も伸びたんです。キャンプを始めとして、登山やバーベキュー等の屋外レジャーを楽しむ人の数も一時的に増加しました。

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ただですね・・? このブームはあまり長続きしませんでした。前述のとおり、日本にはキャンプをできる場所が非常に少なかったんです。日本では河川沿いや湖畔、海岸なんかでのキャンプは基本的に制限されているんですね? 山中なんかはその大半は私有地ですし。また、公園でのキャンプもダメです。それから、高速道路のサービスエリアや、道の駅、ドライブインの駐車場なんかにおいても基本的に禁止されています。あ、コチラ、車中泊も含めての話です。コロナ禍を受けてのブーム時、これらの日本のキャンプ事情を知らない人達が大半だったことから放置ゴミや騒音等、トラブルが続出したんです。では、どこでならばキャンプができるか?と言いますと、やはりキャンプ場くらいしかなかったんです。バーベキュー等の他の屋外レジャーについても残念ながら同様です。加えて・・ 実際にキャンプってやってみるとかなり大変なんですよね? 便利なものに囲まれた日常生活から敢えて離れることを楽しむレジャーですから、当たり前なんですが。そんな様々な経緯もございまして・・ コロナの大流行が大方終息したせいもあって、日本におけるキャンプブームは現在収まりつつあります。とは言え、キャンプを楽しむ人の数はまだまだ一定数いて、キャンプ場の需要もちゃんとあるって状況です。また、設備や道具等が全て揃えられていて、キャンプをアミューズメント的に楽しめるグランピング施設なんかは今でも人気だったりします。まぁ、日本におけるキャンプは、海外からいらっしゃる皆さんがイメージされるものとはちょっと違うものかもしれません。キャンプ泊をしながら、日本で長期滞在して旅を楽しもう~って感じのことをお考えの方がいらっしゃいましたら、くれぐれもご注意下さい。キャンプ可能な場所を事前に綿密にお調べ下さいますように。