日本の入浴スタイルとしては、湯船に浸かる”お風呂”文化がよく知られていますが。近年、日本では”サウナ”が大ブームです。長年有名な観光名所の温泉旅館などを除けば、大抵の温泉や健康ランド等の入浴施設には設えられるようになってきています。最近では、サウナに特化した入浴施設なんかも増えてきているんです。そんなわけで、この記事では日本のサウナ事情についてご紹介しておきたいと思います。
ご存知の通り、サウナはフィンランドが発祥とされる入浴方法です。日本には、北欧からロシアを経て伝わって来たと言われています。江戸時代後期の18世紀終わり頃、北海道の根室に本邦初のサウナが作られたんだとか。日本の商船の乗組員が遭難して、当時のロシア領のアリューシャン列島の島に流れ着いたんです。で、帰国した際に一冬滞在することになった当時の根室の地に、ロシア滞在中に知ったサウナを作ったんだそうです。まぁ、その当時はサウナと言う入浴方法は日本では広まりませんでした。一般的に知られるようになったのは戦後まもなくの1950年頃のこと。銀座にて開業された”東京温泉”に設えられた公衆サウナがきっかけでした。その後、東京オリンピック大会等において本場フィンランドの選手団が持参して来ていたサウナ設備が注目を浴びたんです。 当時、高度経済成長期だった日本では家庭用のお風呂がどんどん普及していました。そのせいもあって、温泉や銭湯等の公衆入浴施設や宿泊施設に設えられたサウナは、家庭では楽しめない入浴施設としてとても人気を集め、全国的に広まりました。更に1990年代から多く現れるようになった健康ランドやスーパー銭湯等にも標準的に設置されるようになり、一般的にもすっかり日常的に利用可能な入浴方法になりました。
日本における現在のサウナブームは第3次ブームと言われており、大体2010年代後半辺りから盛り上がって来ました。時代の流れを反映して、サウナを扱ったマンガやTVドラマ、またサウナ好きな人達によるSNSを通じた情報発信によって一気に人気が広がりました。この第3次ブーム以前は、日本におけるサウナのイメージはとにかく”熱い”、”ツラい”、”しんどい”と言ったネガティブなものが多かったんです。また、サウナの利用客は比較的中年層の男性が中心ってイメージでした。しかし、前述のマンガやTVドラマ、SNSで広げられた情報等によって、”オシャレ”、”デトックス効果”、”リラックス効果”と言ったイメージに変わったようです。その結果、若い世代や女性の利用客が大幅に増加しました。更にとても面白いのが、サウナの利用によって感じられる、他で得られない”気持ち良さ”を表現した”ととのう”と言う言葉が新たに生み出されたことです。それ以前から”ととのう(整う)”って言葉自体はあったんですが、全く新しい意味合いを表す言葉として定着したんです。自身の都合や要望にちょうど合致しているって意味合いの表現、”おいしい”。何とも言いようのない愛らしさ、好ましさを表す”萌え”。いずれもその意味合いを別の言葉で説明するのが難しい言葉ですが、この”ととのう”と言う言葉もそれらと同じく、全く新しい意味合いを持つに至った言葉と言えるでしょう。サウナの利用者の人達の間で広まった、この”ととのう”と言う言葉の持つ魅力も、現在のサウナブームの大きな要因なんです。ちなみにこの”ととのう”と表現される、サウナ利用によって得られる特別な”気持ち良さ”は医学的にも検証されているそうです。アドレナリンが血中に残存しているにもかかわらず、自律神経が副交感神経優位となっているリラックス状態なんだとか・・v( ̄▽ ̄*)v まぁ、こればっかりは、自分自身で体験してみないと分からないんでしょうねぇ。ご興味のある方は是非、日本でサウナ体験を。
日本のサウナ文化
サウナのような蒸気/熱気による蒸し風呂の入浴方法は日本にも昔からありました。石風呂、竈風呂、桶風呂なんかがその代表的なものです。神事における”禊(みそぎ)”にも用いられたりもしたようです。現在、日本でよく利用されているサウナはその方式や様式も様々で、利用者の間でも好みが色々分かれるようです。複数人で入室できる公衆利用型のものもあれば、テントサウナのように個人で楽しめる方式のものなんかもあったり。キャンプ場やイベント会場等に設備そのものを運搬できるトレーラー型のサウナ何かもあるんです。利用者それぞれのニーズに合ったサウナが多く登場しているわけでして。主なものをいくつか種類を挙げておきましょう。
・遠赤外線サウナ
ドライサウナの一種で、遠赤外線ヒーターを用いたサウナ。日本では多くの入浴施設に設置されています。
・フィンランド式サウナ
サウナストーブ上に載せた石を熱して、それらに水を掛けて蒸気を発生させるサウナ。フィンランドの伝統的なサウナです。
・ミストサウナ
スチームサウナの一種。比較的に低温であるため、暑さが苦手な人向けだそう。最近では、マンション等のバスルームに併設されてることも。
サウナの利用者の間でのみ知られていた”ロウリュ”、”アウフグース”と言った用語も一般に広く知られるようになりました。サウナを楽しむ人達の数が大幅に増加したことで、日本独自のサウナ文化と呼べるものが出来上がりつつあるんです。利用客の興味対象もサウナそのものばかりでなく、各施設毎に提供されている独自のサービスだったり、サウナ利用の途中や後に楽しむ飲食物等だったりすることも多いんですね? ちなみに、サウナ施設で提供されている飲食物は特に”サ飯(サウナ飯の略語)”と呼ばれています。サウナ自体は苦手な人達も楽しめるわけですねv( ̄▽ ̄)v 日本人にとって”温泉”が人気のアミューズメントの一つであるように、サウナもまた別のアミューズメントの一つになりつつあると言っても良いかもしれません。いやはや、今後の発展が楽しみです。