イスやソファー以外の場所に座る場合、「胡坐」は海外でも割とお馴染みの座り方です。イスラム圏なんかですと、相手に対して足の裏を見せることが失礼に当たると言うことで、一般的な座り方とされてたりしますし。日本においても、今でこそ「正座」の脚を崩した座り方といった認識が広くなされていたりしますが、実は「胡坐」も正式な座り方の作法だったりします。少なくとも百人一首の絵札に描かれているような姫君なんかも「胡坐」をかいていたみたいですね。しかも、宮廷とかの正式な場においても。所謂「禅」の修行なんかで知られる「座禅」の際の座り方も「胡坐」です。しかし、やはり着物だとはだけちゃうわけで・・ 武家文化が広まった中世以降になると、「胡坐」は男性の座り方と言う価値観が広まり、一方で女性の正式な座り方は「正座」へと変わっていきました。男女共に「正座」が正式な場での座り方と言う考え方が一般的になったのは江戸時代以降なのだそうです。実は「胡坐」は、むしろ「正座」よりも伝統的な座り方と言えるかもしれませんね。

そんな「胡坐」ですが、何よりも足が痺れないのがいいと思うのは海外の方ばかりではありません。日本人も「正座」は結構苦手なんです。

・日本の慣用句「胡坐をかく」について
日本では、その立場や状態に満足して油断している様を指して、「胡坐をかく」って表現したりします。怠けて、努力を怠って、図々しい態度でいる様子ってことです。・・なかなかヒドイ言い様ですね。かつては正式な座り方とされていたのに、今では「正座」に比べて、とても楽な座り方って認識が出来上がっているわけですね。