日本の「神社」には、「○○神社」のような名前以外に「△△大社」、「□□神宮」、「××宮」と言った名前が付けられているお社があったりします。「●●社」って名前の場合もありますね。どうしてこんな風に呼称が違うのか? 実は、割かし私達日本人でもきちんと知っていないことが多いことだったりするんです。そんなわけで、これらのお社の呼び名の違いについて、ちょっとご説明しておきましょう。
「○○神社」、「△△大社」、「□□神宮」、「××宮」と言った呼び名。これらは、「社号」と呼ばれ、その「神社」の社格を表していたものでした。明治維新後、律令制の延喜式に基づいた制度にならって制定された近代社格制度によって、国内の「神社」を格付けしたんです。第二次世界大戦後には政教分離の原則に従って、この近代社格制度自体は廃止されましたが、現在でも各神社の格や歴史(由緒などを含む)を表すのに「旧社格」と言った形で使われているものなんです。ただし、どの「社号」かによって、そのお社は”位が高い”とか”歴史や由緒が古い”と言うわけでは決してありません。「神社」にお祀りされている神様のことを「祭神」と呼びます。「祭神」は、日本神話に登場する古来の神様もいらっしゃれば、以降の時代に様々な経緯で「祭神」として祀られることになった神様もいらっしゃるわけです。で、それらお祀りされている「祭神」によって、もしくはその「祭神」がお祀りされることになった経緯によって社格が定められたんです。つまり「社号」は、日本神話、およびこの日本と言う国の歴史における、それら「祭神」の重要度を表していると言えば良いでしょうかね? あるいは、その関わり具合と言いますか。ですから、「社号」からそのお社の歴史的な位置づけといったものがある程度分かったりするわけです。
・神社(社)(じんじゃ/しゃ)
最も一般的な社号です。「神社」は、日本の神様が祀られている施設全般を意味すると共に、一般的なお社に付けられた社号でもあるわけです。
・~大社(おおやしろ/たいしゃ)
特定の祭神を祀っている全国に多数ある同名(同系列)の神社をとりまとめる役割を有する神社を指します。古くは平安時代になされた全国の神社の格付け(社格制度)において、「官幣大社(かんぺいたいしゃ)」や「国幣大社(こくへいたいしゃ)」と呼ばれていた神社が、先の第二次世界大戦後に「~大社」と名乗るようになりました。尚、大戦前までは「~大社(おおやしろ)」という社名を用いることが認められていたのは、島根県の出雲大社のみでした。
※「おおやしろ」と読まれるのは出雲大社のみ、他の大社は「たいしゃ」って読みます。
・神宮(じんぐう)
皇室や皇族の祖神、あるいは歴代天皇や皇室と縁の深い神様を祭神としてお祀りしているお社に用いられる社号です。
・宮(みや/ぐう)
「神宮」と同様に、皇室や皇族と関係の深いお社に用いられる社号ですが、「宮」は特に天皇家の男子(「親王」と呼ばれます)を祭神としてお祀りしているお社です。また他にも、歴史上の重要人物をお祀りしたお社にも用いられる社号です。徳川家康公をお祀りした日光東照宮、菅原道真公をお祀りした北野天満宮や太宰府天満宮等が有名です。
それぞれの「神社」にお祀りされている祭神は必ずしも一人というわけではありません。複数の神様がお祀りされているお社もたくさんあります。「神社」を訪れた際には、どんな神様がお祀りされているのかってことも確認してみて下さい。その社のご由来とかって、結構興味深い内容だったりするんですよ?