温泉の入り方について
「入浴」という文化も世界各地域で様々なものがあります。儀式的な意味合いが強い「沐浴」や「禊」のようなものから日常生活に浸透していったとか何とか・・まぁ、諸説あるようですが、その方法も様々。シャワーのように「水浴び」形式が主な地域もあれば、「サウナ」形式が主な地域もあります。
さてさて、日本の場合はと申しますと・・「湯船」にお湯を満たして、そこに浸かるっていう「お風呂」形式が主な形式です。で、今回取り上げている「温泉」は、この「お風呂」形式なんですね。勿論、「温泉」の文化は日本に限ったものではありません。海外の方の中にも利用されたことがある人はたくさんいらっしゃるでしょう。でっかい「温泉プール」なんてあったりしますよね?アイスランドのブルーラグーンや、イタリアのムリーノ、ハンガリーのセイチェニなんかはスゴいです。「お風呂」が好きな方にとっては夢のような場所。「お酒」好きな人にとっての「養老の滝」みたいな・・
ちょっとお話の方向が違ったところに向きそうになりましたが、日本の「温泉」は、海外の温泉に見られるような娯楽施設とはちょっと違うんです。言ってみれば、日常生活における「お風呂」にみんなで一緒に入りましょうって場所なんですね。楽しむ場所であるのは間違いないのですが、やはり作法 / マナーってものがちゃんとあったりするわけです。初めて日本の「温泉」にいらっしゃった海外の方々の中には、戸惑うことも割と多いとか。そんなわけで、ここでは日本の「温泉の入り方」についてご案内しようと思います。是非ご参考にして下さい。
温泉マーク
「ゆ」「湯」「♨」 まずは、これら3つの文字を覚えておいて下さい。決してふざけているわけではありません。いずれも「温泉」を示す文字です。温泉街に行くと、ゲシュタルト崩壊が起きるくらいに目にする文字ですのでイヤでも覚えちゃいそうですが・・
老舗旅館や大きなホテルなんかですと、結構迷うんです。なかなか構造が複雑なところもあったりしますし。でも、少なくともこれらの文字を覚えておけば、「温泉」には辿り着けます。ただ、部屋への帰り道は自己責任で。
男湯と女湯
基本的に日本の「温泉」は「男湯」と「女湯」に分かれています。「男」「殿方」といった文字と、黒色、青色等の寒色系の色で示されている方が男性用。「女」「姫」といった文字と、赤色(ほとんどが赤です)等の暖色系の色で示されている方が女性用です。最近は「men」「women」といった感じに英語表記がされているので割と安心ですが、一応念のため覚えておいて下さいね。
場所によっては、この「男湯」と「女湯」。時間帯や日替わりで入れ替わったりすることがあります。それぞれ造りが違ったりするところなんかではよくあるサービスです。
因みに・・これも場所によりますが、「混浴」、つまり男女兼用の「温泉」が用意されているところもあったりします。勿論、衣服着用禁止ですが。
レッツ入浴
ではでは、以上の前知識を頭に入れて頂いたところでいよいよ「温泉」に向かいましょう。いくらか細かい決まり事のようなものもありますが、慣れてしまえば大丈夫です。
因みに「温泉」に行ったら、「三度入るべし」なんて言われていたりします。一度目は旅館に着いてすぐ。まずは宿泊地に辿り着くまでの汗を洗い流すんですね。二度目はお食事の後。就寝前にゆったりした気分を満喫する。三度目は翌朝。目覚ましも兼ねて、さっぱりした気分で旅の続きを~って感じでしょうか。実際にやってみるとなかなか「旅感」が高まってイイもんですよ?そんなわけで・・
① 脱衣所
衣服を脱ぎ着する所です。こちらは土足(スリッパ)は禁止です。最近は鍵付きのロッカーなんかが設けられているところもありますが、扉なしの棚だけのところが結構多いです。棚だけの場合、大抵それぞれに衣服等を入れる篭が用意されています。
で、今更かもしれませんが・・日本の「温泉」は衣服(水着含む)着用は禁止です。「健康ランド」等のように、場所によっては着用可のところもありますが。こちら、海外からいらっしゃったお客様が割とご存知でないことが多かったりするようです。気になる方は、くれぐれも事前にお調べ頂くようお願いします。
② 持込可のお風呂用品
電気製品は不可です。シャンプーやリンス、コンディショナー、ボディソープや石鹸、洗顔料等は基本的に持ち込み可ですが、絶対に絶対に浴槽に投入してはいけません。
尚、シャンプーやリンス、ボディソープなんかについては備え付けのものが用意されていたりします。と、言うのもですね?「温泉」には泉質と言うものがありますよね?種類によっては全く泡立たなかったりするんです。ですので、備え付けのものはその「温泉」の成分を考慮した種類のものが置かれているんです。
貴重品はやはり持って来ない方がいいでしょう。盗難、紛失の恐れがありますので。実際のところ、海外の方が言って下さるほどには安全ではありません。鍵付きロッカーがある場合は必ずそちらを利用して下さい。鍵付きロッカーの有無についても事前にお調べ頂いた方が良いかもしれません。
③ 身体を洗う
では、いよいよ浴場へ入りましょう。大抵の場合、浴場に入ってすぐのところにシャワーと蛇口と鏡がずらりと並んだところがあります。おそらく側には「風呂イス」と「桶」が置かれているはず。
こちらは身体を洗う場所です。「温泉」に入るにあたって、まず最初に浴場でするべきことはこの洗い場で体を綺麗にすることです。特に汗を超かいてるとか、土、砂埃なんかで酷く汚れている場合、そのまま浴槽にドボンっなんてすると・・まぁ、ダメですよね?やっぱりちゃんと身体を洗って下さい。それほど汚れていないって場合でもシャワーなりで一流しはして下さいね?
ところで余談ですが・・「温泉」のシャワーや水道の水流ってめちゃめちゃ強かったりすることが結構あります。しかもどん引きするレベルで。よーっく振った炭酸飲料やペットボトルロケットみたくシャワーヘッドがぶっ飛んでいきそうになったり。一部の方はこれをちょっと楽しみにしてたりするとかしないとか・・ただくれぐれも、他の人に水がかかってしまったりするとトラブルの元だったりします。くれぐれもご注意を。
身体を洗ったら、泡等をよく流しましょう。浴槽に入っちゃったらいけませんので。
④ かけ湯
ようやっと念願の「温泉」へ…ってところですが、ここでもう一手間。「かけ湯」です。
浴槽に入る前に桶で浴槽からお湯をすくって身体にかけましょう。身体の汗やら汚れやらを流すためでもありますが、「温泉」のお湯の温度に身体を慣らす目的もあります。思いの外、熱い「温泉」が結構ありますから。
⑤ いよいよ浸かります
お待たせいたしました。浸かって下さいっ。
尚、タオルや手ぬぐいは基本浴槽に浸けてはいけません。身体を洗うのに用いたものは特に。よく見る風景は畳んで頭上にポンっ、あとは頭に巻くとかでしょうかね?お気持ちはわかりますが、泳いだり潜水したりはダメです。それから、桶や手桶を浴槽に浮かべたりしてはダメです。一部「温泉」では浮かべてお酒を楽しめるサービスがあったりしますが、それ以外ではマナー違反です。あ、勝手に飲食物を持ち込んだりしないで下さいね?
⑥ 浴槽から上がります
くれぐれも気持ち良さにまどろんだりしてのぼせないようにご注意ください。程良いところで浴槽から上がりましょう。
「温泉」の泉質によってはお肌がヌルヌルしたりします。ちょっと気持ち悪く感じる方もいらっしゃるかもですが、基本的には「温泉」の成分は流さない方がいいようです。まぁ、どうしても気になる方は洗い場のシャワーなりでさっと流しましょう。
⑦ 脱衣所Ⅱ
身体をちゃんと拭いて、水気をとりましょう。滴を垂らして出たりしてはダメです。尚、扇風機やドライヤー等備え付きのものは利用可です。他のお客様もご利用されるものですので、くれぐれも丁寧に。それから、これらは電気製品ですので濡れた手で扱ったりするのは厳禁ですよ~?
露天風呂
屋外に設けられた「お風呂」のことです。勿論、外部からは見えないように柵や壁なんかがありますのでご安心を。
屋外ですから、お湯に浸かっていない部位が涼しくってのぼせにくいんです。寒い地域/季節なんかですと気持ち良さが倍増?です。一度お試し下さい。
サウナ
サウナ室が設けられている「温泉」もたくさんあります。
皆さんは「サウナ」、お好きですか?因みに私事で恐縮ですが、ちょっと苦手です・・カップ麺ができあがる前にギブアップ宜しく状態です。そんな「サウナ」不得手な自分が、「サウナ」上級者からざっくり教わった「サウナの入り方」・・ちょっとでもご参考になれば。
① 入室
ノックは不要とか・・ただ外気(この場合、「サウナ室の外の空気」の意)が入って、室内の温度が下がるので速やかに扉を閉めること。一部の先の利用者の中にはコレをちょっと楽しみにしてる方もいらっしゃるそうですが。
② 空席に座る
そりゃあ、そうですよね・・
③ 耐える
自分自身との闘いだそうです・・サウナ室から出た時の爽快感を想像して、妄想して、暴走するそうです。くれぐれも無理はなさらないように。
④ 身体を冷やす
とんでもなく発汗しているので、汗を洗い流します。シャワーでさっと洗い流す方もいれば、更に併設されている「水風呂」へ入る方もいるそうです。直接「水風呂」に入っていい所もあるそうですが、その辺りはその「サウナ」でのルールに則りましょう。ただ、「温泉」に浸かるのであれば話は別です。マナーとして必ず汗を綺麗に洗い流してからにして下さい。
で・・基本、この①~④を繰り返すそうです。
・・何かの修行でしょうか?
内風呂
利用にあたっての注意は上記と同じです。こちらはこちらでやっぱりプライベート感が魅力的なんですよ~。「露天風呂」が設えてあるところもありますし。
コーヒー牛乳
「温泉」に入ると、実は結構体力を使っていたりします。RPGなんかに出て来る「ただただHPが回復する温泉」ってものはないんです。ですので、水分補給をお忘れなく。
そして、そんなあなたにお風呂上がりの「コーヒー牛乳」です。実は日本の伝統文化の一つなんですよ?是非一度お試しを。
以上が、一般的な「温泉の入り方」です。さてさて、いかがでしょうか?
「温泉」はやっぱり楽しんで頂く場所です。ただ、ご注意頂きたいのはあくまでも他の利用者の皆さんへの配慮です。みんなで気持ちよく楽しむためにはやはりマナーは守って頂く必要があるわけです。何卒ご理解のほどを。