「神道」の信仰は、自然全て、事象全てに神様が宿っているって言う「自然崇拝」の思想を元にして、更には人の手が作り出したモノなんかにも神様が宿るって考え方になっています。つまりは世の中に存在する事物全てに神様が宿っているってことになるわけですね。ただ一般的に、「神道」における日本の神様に対する信仰は、他の「宗教」とは性格の異なるものだったりします。勿論、全部が全部ではありませんが(※「教祖」「戒律」が存在する「神道」の宗派もちゃんとあります)。基本的に「開祖(教祖)」「戒律」と言ったものはありませんので、「信徒(信者)」って言う考え方もちょっと合致しないんです。あくまでも「森羅万象」、ありとあらゆるものに敬意を払うっていう考え方と言えばいいでしょうか。そんなわけで・・ 「神道」においては、他の「宗教」の信仰もあまねく尊重すべきだという考え方であるわけです。

そんな日本の神様が宿る、降臨するモノを「御神体」と言うんですが、この「御神体」は実際に「物」です。「石」「鏡」「剣」「札」等々・・色々だったりします。神様の似姿を模したものではないわけで、所謂「偶像」とは異なります。そもそもこの「御神体」はいつ何時でも神様が宿ったり、降臨してたりするものではないんですね。基本的に日本の神様は、この世のありとあらゆるもの全てにいらっしゃるわけですので。逆に言えば、そのままではどこにいらっしゃるか分からないわけです・・ それでは敬意を払うにしても、明後日の方向に向かって頭を下げたりしてしまうことになり得るわけで、それじゃ失礼ですよね? つまり「御神体」は、私達が敬意を払う際に「御座して」頂く場所にあたるんです。ですから、やはり無造作な扱いをしていいものではないわけです。さて、そんな「御神体」が安置されている場所。それが「神社」です。尚、「神社」にお祀りされている神様のことを特に「祭神」と言います。この「祭神」をお祀りする場所ですので、きちんと人間が生活している場所とは分けているんです。「神社」は大体次のような各施設等から構成されています。

「神社」内の各施設

神社内の各施設
~「神社」内の各施設~

・神殿:
「本殿」とも。「御神体」が祀られている建物。

・拝殿:
「御神体」に参拝するための建物。お祀りされている神様をお呼びするための「鈴」があります。

・賽銭箱:
「拝殿」前に置かれている「賽銭」を入れる箱。

・社務所:
宮司さんや巫女さんがいる建物。「神社」でのお仕事(社務)をする場所です。

・摂社/末社:
「神殿」でお祀りされている「御神体」とは別にお祀りされている「御神体」のある建物。「祠」のような造りのものの場合も有ります。いらっしゃる神様も、その「神社」の「祭神」とは別の神様だったりすることもあります。

・神楽殿:
祭祀の際の「神楽」を執り行う建物。「神楽」は神様に上奏される特別な”舞”や”踊り”のようなものです。特に一般に公開されるものでない場合は、「本殿」や「拝殿」で執り行ったりします。

・狛犬:
「神殿」「拝殿」を守護するように配置されている動物の像です。一般的にはこの「狛犬」の他、「狐」「獅子」なんかがあります。ところでこの「狛犬」、大抵は対になっていますが実は片方は「獅子」だったりします。「神殿」向かって左側の口を閉じている方が「狛犬」です。「祭神」のお使いを「神使」と言います。それらを模した動物の像が置かれていることもあります。尚、「神使」の動物は「神社」によって様々でして、「狐」「猿」「蛇」「鳩」「狸」「狼」「牛」等々・・ 必ずしも「神使」=「狛犬」ではありません。

・手水舎(てみずや/ちょうずや):
参拝する方が手を洗ったり、口をすすいだりする場所。

・鳥居:
「神社」の入り口にあたる場所です。本来は、お祀りされている神様によって造りや形状が異なります。

・境内:
「神社」の敷地内全体のこと。

・参道:
「神社」に至るまでの道、および「境内」の「神殿(本殿)」までの道を「参道」と呼びます。神様の通り道でもあります。

・鎮守の杜(もり)
「境内」を取り囲む森のこと。人間世界との境界を示していたりします。

※ただし、上記の各施設は地理的な理由や敷地の広さなんかのために存在しないものもあります。

一年を通して、「神社」では神様をお祀りするための様々な行事が執り行われています。これらの行事を「祭祀」と言い、それを執り行うのが「神主」さんです。尚、「神主」っていうのは、祭祀における役割名です。「宮司」はその「神社」の責任者を務めている神職のことです。「祭祀」を執り行う際には、大抵この「宮司」さんが「神主」役をするわけです。

「神社」における主な年間行事

一月
・歳旦祭(さいたんさい):
元日に執り行われ、その年の天災を祓うと共に五穀豊穣と国家安泰、天下泰平を祈願するもの。

・元始祭(げんしさい):
正月三日に執り行われる祭祀です。日本神話に基づいて、日本という国が造られたことをお祝いするもの。

二月
・節分祭(せつぶんさい):
立春前日に執り行われる祭祀です。豆まきや厄除けの神事がよく執り行われます。

・紀元祭(きげんさい):
建国を祝って執り行われる祭祀で、国家安泰と天下泰平を祈願します。

・祈年祭(きねんさい):
「としごひのまつり」とも。五穀豊穣を祈願する祭祀です。

三月
・春分(しゅんぶん):
年二回、昼夜の時間が同じになる日のことを、春は「春分」、秋は「秋分」と呼びます。「春分」「秋分」の日を中日として前後三日間を「お彼岸」と言い、ご先祖を敬う祭祀が執り行われます。

四月
・春祭り(はるまつり):
その年の農耕の始まりを祝う祭祀です。名称は様々。五穀豊穣の祈願が主です。

五月
・田植え祭り(たうえまつり):
五穀豊穣の中でも特に「米」の豊作を祈願して執り行う祭祀です。こちらも名称は様々。

六月
・夏越しの大祓(なごしのおおはらえ):
年二回執り行われる大祓(罪穢れを祓う祭祀)の一つです。その年前半の罪穢れの祓いと無病息災への感謝、併せて年後半の無病息災が祈願されます。

七月
・七夕(たなばた):
節句(季節の変わり目の名称)の一つです。季節のお祭りの一つと言えます。

・夏祭り(なつまつり):
疫病や害虫被害、風水害などの天災が多い季節と言うことで、それらを鎮めることを祈願する祭祀です。名称はやはり様々です。

八月
・お盆(おぼん)/御霊祭(みたまさい):
御先祖の霊をお迎えして慰めるとともに感謝する祭祀です。「盆踊り」はその一部です。

九月
・観月祭(かんげつさい):
農作物の収穫を前に豊穣を祈願する祭祀です。とりわけ「月」に祈る、或いは「月」の動きに注目した内容のものが多かったりします。

・秋分(しゅうぶん):
「春分」と同じく、主にご先祖を敬う祭祀が執り行われます。

十月
・秋祭り(あきまつり):
収穫に対する感謝を表す祭祀です。名称や内容も様々。

・神嘗祭(かんなめさい):
10月15日~17日に伊勢神宮にて執り行われる祭祀で、その年に収穫された穀物等を祭神である天照大御神(アマテラスオオミカミ)奉上します。農作物の豊穣への感謝を表す神事です。

十一月
・新嘗祭(にいなめさい)
こちらも農作物の豊穣への感謝を表す神事です。

十二月
・大晦日の大祓(おおつごもりのおおはらえ)
12月31日に執り行われます。6月の大祓と同様、その年一年間の罪穢れを祓い、無病息災を感謝します。併せて新年の無病息災も祈願する祭祀です。

「神社」で執り行われる行事は、日本の習俗や季節行事に深く関係しています。まぁ、やっぱり「森羅万象」ありとあらゆる事象に神様がいらっしゃるわけですので、「神社」はとても神聖な場所と考えられているわけです。前述させて頂いた通り、他の宗教施設等とは意味合いや趣なんかも異なるものだったりしますが、みだりに騒いだりしていい場所では決してありません。そのことは重々御承知しておいて下さいね?