文化の基本は「衣」「食」「住」。日本における「衣」と言えば、やはり「着物」です。そう言いたいところですが・・何とも残念ながら、日本人にとっても日常生活から馴染みが薄くなっているわけでして。「着物」を身に着けるには「着付け」というスキルが必要です。つまりは、見た目的に美しく、かつ「着物」の機能性をちゃんと活かすための正しい着こなし方なのですが、日本人でも知っている人はなかなか少なかったりします。本来「着物」は基本的な作りはシンプルですが、とても機能的な衣服です。日本の気候は温暖湿潤気候。夏は暑くて湿気がある一方で冬は寒くて乾燥してます。亜熱帯地方並みに蒸し暑くなるところもあれば、世界有数の豪雪地帯なんかもあります。そんな地理的な特徴にも広く対応できる衣服なんです。また「着付け」といっても馴染みが薄くなったせいで敷居が高く感じるようになっただけで、実はそんなに難しいものでもないんです。しかしながら、生活スタイルが変わっちゃったんですね?「食」「住」が変われば、当然「衣」もそれに寄っていっちゃったわけです。現在では、何かしらの式事で着ることがあるかないかって感じでしょうか・・今更ながらに「着物」が日常生活の中に戻って来たらいいのになんて思ったりもします。「羽織」「袴」とか日本っぽいですよね?街並みなんかも含めて、いっそ全部「和」っぽさ全開って感じの方が魅力的な気がするんですが。素材や材質なんかは今の技術で・・みたいな。まぁ、さすがに髪型まで戻すのはさすがに色々とキツいですけど・・ そんな「着物」ですが、海外の方達には結構人気です。日本の特徴的な魅力的な文化の一つとしても広く認識して頂いていたりします。これはとてもありがたいことなんです。日本人自身が気づいていない、或いは忘れてしまっている文化はきっとまだまだたくさんあるんだと思います。海外の方達から「優れた」ものと言って頂いて、改めてそう気づかされるんですね。異文化交流の素敵なところですよね?ですので、もっともっと気づかせて下さると嬉しいです。そしてそれがお互いの文化への理解に繋がればとっても素晴らしいことだと思います。本サイトの大きな願いの一つです。

えっと・・折角ですので、割と気軽に楽しめる「着物」の一つ、「浴衣」についてお話しておきますね。「浴衣」は夏の「着物」です。現在でもお祭りや花火見物なんかの際には日本人も折角だからってことで着たりします。「浴衣」には、日本の「着物」の着こなしの基本がいっぱい詰まっています。髪の結い方や帯の締め方、草履での歩き方等々ですね。夏前くらいになると、割とリーズナブルな価格のものがお店に並んだりしますのでちょっと試してみるのも楽しいと思います。勿論、専門店とかを覗いてみるのもお勧めですよ。「着付け」については是非訊ねてみて下さい。大抵ご存知の方がいらっしゃいますし、何ならその場で着させてもらえますので。もっと簡易なものならば、旅館やホテル等の宿泊施設で提供されてたりもします。最初はちょっと窮屈かもしれませんが、慣れてしまえばとっても機能的な衣服だってことが分かって頂けるでしょう。こればっかりは、一度身に着けて頂かないと実感して頂けないところです。

尚、「着物」を綺麗に正しく着こなすコツは「姿勢」なんだそうです。人間にとって正しい「姿勢」ってものがちゃんとしてないと着崩れが起きてしまうんだとか。今現在の皆さんの身体の「姿勢」の良し悪しが分かるんです。着こなしてしまえば「姿勢」もいつの間にか整っちゃうわけです。どうですか?ちょっと興味がわいた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか? 是非是非、試してみて下さいね。


襷(たすき)

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明治維新を経て、日本の衣服文化は一般的に「着物」を主とする和装から洋装(洋服)へと変わっていきました。日常生活における身の周りのものの欧米化に伴って、衣服も洋装の方が適している点が多かったわけですね。とは言え、やはり洋装の衣服は高価なものだったために、一般庶民にまで洋装化が行き渡るのは第二次世界大戦以降のことでしたが。あくまでも、上流階級の人々や公職に就いていた人達が着るものだったんです。さてさて。「着物」と洋装(洋服)の大きな違いと言えば、やっぱり袖部分の形状でしょう。あのでろ~んと垂れ下がった部分(”袂(たもと)”って言います)は非常に特徴的です。あれこそが「着物」の大きな魅力と言いますか、その美しさだったり構造面での実用性そのものの一つだったりしたわけですが・・ 当時推し進められていた生活文化の欧米化とは、いまいち相性が良くなかったようですね。あの袖部分が何かと引っ掛かったり、摺ったりして邪魔だったんでしょう。まぁ、あんな形状をしてますから、やはりそれなりに慣れないと不便であることは想像に難くないですよね? じゃあ、それまではどうやってあのでろ~んとした袖部分を処理して、邪魔にならないようにしていたのか・・? そのための装備品とも言えるのが、”襷(たすき)”と呼ばれるものでした。映画やコミックなんかでご覧になったことがある方もいらっしゃるでしょう。袖部分(”袂(たもと)”)をたくし上げるように肩から脇にかけてる紐状のやつ。アレのことです。アレ、普段からそれ用の紐を携帯してたんですね? で、何かしらの作業をする際には、ああすることによって、あのだる~んとした垂れ下がりが邪魔にならないようにしてたんです。基本的には、細長い丈夫な紐状であれば、材質は布地でも縄類でも何でも良かったようです。それほど携帯するのが面倒なモノではありませんし、着脱も容易って言う、非常に優れた装備品と言えるでしょう。「着物」を着用する場合、”襷(たすき)”を素早く正しく装着できるのは必須スキルの一つなんです。是非覚えておいて頂ければと思います。