紙を折って動物や植物、身の回りの道具や建造物等々、様々なものの形を作る日本の伝統的な遊びですね。”鶴”や”手裏剣”なんかは、きっと一度くらい目にされたことがあるんじゃないでしょうか? さて、この「折り紙」ですが。実は原型を辿ると鎌倉時代(12世紀頃)から始まる武家社会における礼法の一つだった、ってくらいに伝統的な文化だったりするんです。「折紙(折形)礼法」と言いまして、和紙を手ずから(心を込めて自分の手で以て)に折り目正しく折って贈り物などを包む礼儀作法の一つだったそうです。「ご祝儀袋」や「お心づけ」、「熨斗(のし)紙」なんかも元はこの「折紙礼法」から来てるんですね。やがて江戸時代を迎えて、天下泰平の世の中になり町民文化が栄えるようになりまして。この時期は、武家や公家(貴族)の間でだけ知られていた知識、習慣、作法や遊びなんかが庶民に多く伝わって行った頃なんです。で、この「折紙礼法」も、武家にとっての由緒正しい礼法という要素が抜けた形・・ つまり、紙を折って形作る技巧や遊びの要素が庶民の間に広がったことで今の「折り紙」になったというわけです。

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基本的には正方形の紙を用います。”折り方”にはいくつかの分類がありまして、大まかには以下の3つ。

不切正方形一枚折り

ハサミ等で切込みを入れることなく、一枚の正方形の紙を折って作る方法。

切込み折り

ハサミ等で切込みを入れたり、一部を切取ったりすることでより複雑な形状のものを折り上げる方法。

複合折り

複数の部分に分けて折り上げて、それらを組み合わせて作る方法。異なる色や模様の紙を組み合わせることが可能。同じ形状のものをいくつも作って多面体状のものを作る”ユニット折り紙”なんてものもあります(例としては”くす玉”等)。

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現在では、まぁとんでもなく複雑な形状のものも作られるようになりまして・・ これがまた、本当にスゴいんですね? 試しに”折り紙””日本””芸術””画像”なんてキーワードで検索して頂ければ。まぁ、その展開図なんかを見ると、とっても数学的、あるいは工学的な印象をもって頂けるかと。勿論、昔からの伝統的なものも味わいがあって魅力的です。おそらく現代の人間とは異なるモノの見方、捉え方をしてたんだろうな~なんて、それっぽいことを思ってみたり。かなり色んな種類の「折り方」のテキストが出版されてたりしますので、ご興味を持たれた方は是非ともお試し下さい。実用的?な「お土産」としてもオススメですよ?

千羽鶴

“折り紙”で作られるものとしてよく知られているのが”鶴”です。折り方を覚えている日本人も結構多いですね。”千羽鶴”は、折り紙の鶴を千羽(多数と言う意味で、正確に千羽でなくっていいそうです)作って、糸などで連ねたものです。かなり昔から、日本の文化において、”鶴”は”瑞鳥”とされてきました。長寿や慶事の象徴、あるいはその願いを込めたものとして扱われてきたんです。そのことから、招福祈願や病気平癒等の祈願、災害等による被災への慰安等の気持ちを込めて”千羽鶴”を作って相手に贈ると言う風習が生まれたようです。原爆症で亡くなった佐々木禎子さんのエピソードに因んで、平和祈願の象徴としてもよく知られています。”千羽鶴”に限ったことではありませんが、”折り紙”の魅力は”手作り”されるものであるところでしょう。一つ一つ想いや願いを込めて作られるものだからこそ、作った人の”温もり”のようなものが感じられるわけです。また、折り方さえ知っていれば、誰にでも作ることができると言うのも大きな魅力ですね。”千羽鶴”は、まさに”折り紙”ならではの”良さ”が凝縮されていると言えるでしょう。そう言ったことも含めて、海外の皆さんに”折り紙”を知って頂き、また興味を持って頂ければとても素敵なことだと思います。”鶴”の折り方は、”折り紙”の教本なんかにはほぼ必ず載せられております。Web検索して頂けば、画像付きの詳しい手順が数多く紹介されてますし、とても丁寧な解説がされている動画なんかもたくさんございます。皆さんも是非一度、試しに折ってみて下さい。