食文化について、色々とご紹介するにあたってどうしても触れなくてはいけないのが食中毒症についてです。このサイトでも、これまで数多くの日本の食文化についてご紹介させて頂いておりますが・・ その幅広さ故にと言いますか、やはり毎年食中毒症に関するニュースと言うものは割と多かったりするんですね? とりわけ、「生食」と言う食文化が一般的にも広がっている日本では、食中毒症は昔から非常に身近なものだったんです。「生食」において、食中毒症を避けるのに最も重要なことはその食物の鮮度をいかに保持するかです。そのために食物の保存方法や運送方法等の発達が促されてきたわけですが。現在のように、非常に発展したそれらの保存方法や運送方法等があっても、食中毒症と言うものはやはり注意が必要なものだったりするわけでして。もちろん、加熱処理された食物であっても、その調理が不十分だったり、調理後に時間が経過したりすることで腐敗します。そのような食物を摂取してしまうと、やはり食中毒症になってしまいます。私達日本人にとって日常的な食文化圏においても、十分な注意が必要なわけですから、海外からいらっしゃる皆さんにとってはより一層ご注意頂きたいと思うわけです。ちなみに、食中毒症になることを日本語では”あたる”と表現したりします。”食あたり”なんて使い方をしますね。この記事では、日本における食中毒症についてご紹介していきたいと思います。


アニサキス症

日本の食文化の特徴の一つである「生食」において、近年話題にのぼることが多いのがこのアニサキス症です。アニサキスとは、魚介類に寄生する寄生虫です。このアニサキスを生きた状態のまま魚介類と共に食してしまい、それらが胃や腸内において内臓壁面に侵入しようとすることによって引き起こされるのがアニサキス症です。症状としては、激しい腹痛と嘔吐が主です。吐瀉物が胃液のみで下痢症状がない点が一般的な食中毒とは異なるようです。アニサキスが原因の食中毒件数は、ここ数年特に増加しておりカンピロバクター、ノロウイルスによるものを超えて一番多くなっています。勿論、一番の予防策としては、生食しないことなんですが・・ 食材を長時間冷凍(厚生労働省による指標では、-20℃以下で24時間以上)するか、70℃以上で1分以上加熱することで殺虫できるそうです。鮮魚商品等を取り扱う業者では、これらの処理や紫外線等を用いた検査によって除去が行われています。しかしながら、スーパー等で購入して各家庭で調理した場合や、飲食店等で提供される刺身等の料理等でもアニサキス症の食中毒は毎年いくつか発生しているのが現状です。完全に除去/殺虫することはまだ難しいんです。なお、アニサキスそのものにアレルギーがある場合は、アニサキスが死滅していても摂取してしまうと発症してしまうため注意が必要です。

カンピロバクター症

カンピロバクター属菌の感染による細菌性胃腸炎の一つで、食中毒症では非常に一般的なものです。発症機会は非常に多いものの、重篤化することは少なく、自然治癒することが多いそう。肉類や野菜類の生食や加熱不足、他には汚染された飲料水等の摂取が原因となることが多いそうですね。主な症状は消化器系腸炎で、発熱や腹痛、下痢を伴います。予防策としては、カンピロバクター属菌は保菌動物や鳥類の糞に含まれているため、それらが付着した食物の十分な洗浄や加熱処理(60℃以上で1分以上)等が重要です。また、日常生活の中でも接触する機会が少なくないため、食事前のこまめな手指の洗浄等も有効だそうです。

ノロウイルス症

こちらも胃腸炎の原因としてよく知られています。下痢や嘔吐、胃痛腹痛等が主な症状です。ウイルス性の感染症であることから、人から人への直接的or間接的接触(空気感染も含む)による感染もあるそうですね。そのために、日本でも集団食中毒の原因として報告されることが多いです。主に調理者側の食品衛生管理不足(手指や調理機器類、食物の洗浄/殺菌処理が不十分)が原因となることが多いため、料理を提供してもらう側での予防は難しいですね。発症までの潜伏期間が1~2日以内と比較的少ないため、前述のような体調不良を感じた場合は他人への感染を予防するためにも接触には注意しましょう。