“この料理にはこのお酒が合う”とか”この食材は○○と一緒に食べると美味しい”。逆に”△△は××の風味を損なうから一緒に食べるのはよした方がいい”なんて感じに、飲食物の中には相性の良し悪しってありますよね? 大抵の場合は、素材の風味を高め合う、活かし合う。或いは、その逆って理由が結構多いですよね? 世界各国/各地域の食文化毎に、そう言ったものはたくさんあるんでしょう。で、そういった相性の良い食材の取り合わせの定番モノが元になって色んな料理やらが出来上がって、って感じでしょうか。その文化圏の人達の嗜好の傾向なんかが垣間見えたりして、非常に面白いものです。

さてさて。今回取り上げるテーマは、日本における”食い合わせ(食べ合わせ)”の文化についてなんですが。この”食い合わせ”と言う文化は、ちょっと上記の飲食物の相性の良し悪しとはまた別の性質のものと言えるでしょう。それらの中には、宗教上、もしくは信仰上の理由で食することが禁じられている特定の食材アレコレってものも含まれていたりもするのですが、今回はそう言ったものは置いておいて。その根拠は諸説あって、イマイチ分からないけど、一般的にダメと言われている”食材の組み合わせ”に注目してお話ししたいと思います。

この”食い合わせ”と言う考え方ですが、”食合禁忌(しょくごうきんき)”って言うみたいですね。コレ、おそらくは”健康”という観点から、先人達が積み重ねてきた経験に基づいて見つけた?”言い伝え”の類のようなものなんです。根拠はイマイチあやふやだったりするものがとっても多いんです。”験かつぎ”のような理由のものなんかもありますし。で、これらの良くないとされる”食い合わせ”は、根拠が未だに曖昧なものなんかも含めて、現在でもやはり避けられているんです。一般家庭の食卓や飲食店なんかでも、基本的にはちゃんと取り入れられているんですね? 実のところ、現在では医学的(or科学的)に正しいとされるものも結構多かったりするんです。先人達がそれぞれの様々な経験をちゃんと受け継いで現代に伝えてくれたことに対して、きっと感謝すべきなんでしょう。そんなわけで、日本における良くないとされている”食い合わせ”の有名ドコロをいくつかご紹介しておきますね~

理由:体調不良

・鰻と梅干
鰻の脂っこさと梅干の酸味が消化不良を引き起こすと考えられていたとか。逆に、両者共に美味しくて食欲を増進させてしまうので食べ過ぎないようにという戒めから”食い合わせ”が悪いとされたとも。実際には、酸味によって脂の消化が助けられるらしく、味覚の観点からも”食い合わせ”は悪くないそうです。

・蕎麦とタニシ
蕎麦はほとんど噛まずに食され、また腹持ちが良いことから消化があまり良くないと考えられていました。それに加えて、身の固いタニシを一緒に食べると、消化不良を起こしやすいだろうと言うことで。ちなみに現在、日本ではタニシは一般的に常食される食材ではありません。

・天ぷらとスイカ
油っこい天ぷらと水分の多いスイカは、胃の中で混じり合いにくいことから消化不良を起こしやすいと考えられたため。実際に、胃に負担がかかりやすいそうです。スイカの他にも、冷たい飲み物(冷たい水や乳、かき氷)との取り合わせも良くないとされていました。

理由:中毒

・タコとワラビ
食感的によく噛む必要のあるタコが消化不良を起こしやすいのに加えて、ワラビは食べ過ぎるとワラビ中毒を起こす恐れがあることから。タコの方はともかく、後者のワラビの過剰摂取は危険です。

・鰻とギンナン
両者共に美味しさのあまり食べ過ぎてしまうと、前者は脂の過剰摂取によって気分が悪くなる一方で、ギンナンは過剰摂取によって中毒を起こす恐れがあったことから。実際に、ギンナンの過剰摂取は中毒を起こすため、注意が必要です。

理由:食あたり

・マツタケとアサリ
旬が異なる食材の組み合わせの場合、両者、あるいはいずれかの旬の時期がずれていると鮮度が悪くなってしまうことから。特に、冷蔵技術や運搬技術が未発達だった当時は、それが原因で食あたりが多かったと考えられています。

・鮎とゴボウ
鮎は、日本では昔から食されてきた川魚の代表ですが、傷みやすく冷蔵/運搬が困難だったことから、食あたりが多かったとか。ゴボウも昔から馴染みの深い食材だったものの、その食感から消化不良を起こしやすいとされており、これらの”食い合わせ”はむしろ機会が多かったとも考えられています。その分、食あたり等を起こす例が多かったのかもしれません。

理由:身体が冷える

・蕎麦とナス
身体が冷えることによって、風邪等を引きやすくなってしまうと考えられていたそうです。ナスやキュウリ、トウガン等のウリ類の食べ過ぎには注意が必要と言う考え方は割と一般的に知られており、女性(特に妊婦)は特に注意が必要とされていました。実際に、ウリ類には身体を冷やす効用があります。

・カニと柿
実際に、両者共に身体を冷やす効用があるそうです。また、昔はカニは傷みやすい食材だったってことも避けられた理由として考えられるみたいですね。一説では、昔話の”猿かに合戦”の取り合わせだからってのもあります。

理由:のぼせる(血圧が上がる)

・クルミと酒類
実際に、クルミには血圧を高める効用があるため、冷え性防止等に用いられていたんだとか。

・芥子と酒類
そりゃまぁ、そうでしょうね。

・塩漬け類と酒類
まぁ、いかにも食べ過ぎるとヤバそうですよね。

理由:贅沢だから・・(食べ過ぎ防止)

・鰻と梅干
・フグとおこわ
※この類の組み合わせは、地域によって結構たくさんあったりします…

上記の他にも、食感がちょっとアレなので”ドジョウと山芋”はヤめた方が良いなんてものもあったりします・・ まぁ、言わんとしてることは分からないでもないんですが、納豆やオクラ、メカブ等々さんざんっぱらネバネバ系の食材を食べる文化なのに・・とつい思ってしまいますね。ご興味を持たれたなら、色々と調べて頂くとなかなか面白いですよ?