“食品サンプル”ってご存知でしょうか? 現在では、海外の飲食店の店頭なんかにも展示されていることがあったりしますから、ご覧になったことがある方も多いでしょう。一目でその料理がどんなものかが分かるってことで、海外からいらっしゃった方にも非常に好評だそうです。アレ、本当によく出来ているんですよね~。子供の頃は勿論、大人になってからもやっぱり”食品サンプル”を見るとワクワクしてしまいます。実際の料理以上に色鮮やかで食欲をそそるあの造形美は目を見張るものがありますし。ヘタすると、食欲そっちのけで、「コレ、どうやって作ってんだろう」「うん? コレ、何で出来てるんだ・・?」と言った具合に、まじまじと観察してしまったり。そんな”食品サンプル”ですが。アレ、実は日本で考案されたものなんですね。20世紀初め、大正時代の頃のことです。当初は、実際の料理を寒天を使って型取りして、着色済みの蝋で成形したものに更に手作業で彩色を施したものだったそうです。一つ一つ全部手作りされていたんですね? ちょうどその頃は、日本でも喫茶店や洋食屋さん、定食屋さんと言った一般庶民向けの飲食店が増え始めていた頃でした。その高い販促効果が明らかに表れたことから、昭和初期の頃には”食品サンプル”を展示するって言う宣伝形態は日本全国へと広まっていきました。1970年代以降は、蝋製のものから合成樹脂製のものへと変わっていきました。勿論、その造形はよりリアルで質感のあるものになっていきまして・・ 今や、飲食店の料理の販促アイテムとしてばかりでなく、玩具(”食品模型”なんて呼ばれます)やアート作品としても認知されるようになりました。有名な制作工房や作家さんなんかもいたりします。同じ料理でも、それを提供する飲食店によって材料や盛付けって違いますよね? ですから、基本的には発注元の飲食店毎にオーダーメイドで作られるんです。その料理の種類、用いられる材料、その調理方法をいかにリアルに、また魅力的に表現できるかが問われる、非常に繊細なものなわけです。正に職人の技や発想力が凝縮されたものと言えるでしょう。

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“食品サンプル”が生み出された20世紀初めの頃は、現在みたくカラー写真画像等が容易に利用できるわけではなかったんですよね? コピー技術なんかもなかったわけです。その料理がどのような見た目のものなのかを正確にお客さんに伝える場合、せいぜい手書きのイラストのようなものしかなかった時代に、”食品サンプル”はとても画期的な発明だったんだと思います。現在は写真画像やコピー技術に加えて、それらを電子表示する機器なんかも発達してますから、それも難しいことではなくなりました。しかしながら、やっぱり色鮮やかに緻密に作られた立体物って、写真画像等とは全く違う迫力があります。「ほぼ実物」的な魅力って言えばいいでしょうかね? 日本には、和食の飲食店ばかりでなく、結構世界各地の料理が楽しめる飲食店が多くあります。提供されている料理も多種多様です。それだけに、それら多種多様な料理の”食品サンプル”がずら~っと展示されていたりすると・・ まぁ、やっぱりそのお店に入ってみたくなりますよね? そんなわけで、”食品サンプル”は現在も色々と進化を続けているんです。

近年は、ホームセンターや雑貨店、トイショップなんかでも割と安価で販売されてたりします。製作用の模型キットなんかもあるんですよ? Web購入なんかもできたりしますし。製作動画なんかを公開されている作家さんなんかもいたりしますから、ご興味を持たれた方は調べてみて下さい。