“日本刀”で知られるように、日本の”刃物”はかなり優れているんです。良質なんですね。日本の”刃物”は、”鍛造刃物”と言って、軟らかい地金と硬い鋼を重ねたものを灼き付けて造られます。切れ味がなかなか落ちない、手入れをきちんとすればとっても長持ち。料理をされる方の中には、日本の”包丁”にとても憧れる方もいらっしゃるとか。食材の切り方一つで結構味の良し悪しって変わりますし。
そう言えば、今年は日本中で”刃(やいば)”という漢字が溢れました。某コミックスが大きな話題となりましたので。海外の皆さんもご存知の方が多いんじゃないかと思います。今回こうして”刃物”について取り上げた折角の機会ですから、ここでこの”刃”という漢字に因んだ話題を少しだけ。”刃”は、”何かしらのものを切断/切削する性質をもつもの、道具、器具”といった意味合いをもつ漢字です。その道具全体を指すものではなく、”何かしらのものを切断/切削する性質をもつ”部分を指すんです。また、必ずしも”モノ”ばかりを指すわけではなく、精神とか概念的な意味合いも含んでいるんですね? “刀”という漢字に一画”ヽ”ってものを書き足すと”刃”になるわけですが、この”ヽ”が”何かしらのものを切断/切削する性質をもつ”部分を表しているって説もあります。なかなか面白い説考え方だと思いませんか?
さてさて、それを踏まえて頂いた上で、日本の優れた”刃物”を代表する器具である”包丁”という漢字を改めて観察してみて頂きたいのですが。コレ、”庖丁”って漢字が本来なんです。(”包”は”庖”の字の常用形/簡略形です) ただいずれにしても・・ “刃”という要素がないように思いませんか? “丁”の字面がそれっぽいかな?って思われた方もいらっしゃるかもしれませんが・・ 違うんですね? “庖”は”台所”を、”丁”は”人”をそれぞれ意味しています。つまり”庖丁”は”料理をする人”、”調理人”を意味する漢字なんです。”和食”の調理は、必ず素材なりを”切る”ことが含まれます。あるいは、必ず素材なりを”切る”ことから始まる、と言った方が正しいでしょうか。そのため、この”切る”という技術やそのために用いる道具”刃物”は非常に重要なものと考えられているんです。それゆえに、”庖丁”という漢字は、本来”料理をする人”、”調理人”を意味すると共に、”調理するための器具”、もしくは”料理用の刃物”そのものも意味するようになったんだとか。現在”包丁”は、扱う素材ごとにそれぞれに特化した造りがなされるようになっており、実はすごい数の種類があります。因みに、調理用以外にも”畳(たたみ)”制作で用いられる”畳包丁”や、衣料生地等の裁断に用いられる”裁ち包丁”なんてものもあるんですよ? “包丁”専門のお店なんかを訪れて頂ければ、間違いなく驚かれることでしょう。
日本の「刃物」は何も「包丁」ばかりではありません。調理器具ですと「ピューラー」や「おろし金」なんかもそうですよね。海外の方にとても好評なのが「爪切り」とか「剃刀」、後は「ハサミ」だとか。確かに、日常的に使用するものですから余計に良さを感じて頂けるのかもしれませんね?