日本の夏は高温多湿です。ここ10年ばかりは、その傾向が年々強くなってきてたりします。今では、公共の施設や商業施設ばかりでなく、各一般家庭でもエアコン等の空調設備が広く普及したお陰で、何とか快適にやり過ごすこともできなくもないようにはなりましたが。現在は当然のようにある色んな空調設備の数々ですが、ほんの30~40年くらい前まではとても高価で珍しいものだったわけで・・ 何とも恵まれた世の中になったものです。まぁ、現在ほど酷い感じではなかったとは言われているものの、日本の夏の気候は昔から高温多湿だったんですね。当然のごとく、そういった身の回りの環境は、その国の文化にいろんな形で表れてきます。とりわけ日常生活、つまり”衣”、”食”、”住”に関わる工夫って形で反映されてくるわけです。”衣”ならば、当然薄めで、汗の乾きやすいものを。”食”ならば、体温が下げられるような、喉の渇きを潤せるようなもの。”住”ならば、風通しが良くって湿気がこもらないようなものを・・ってな具合に。エアコンや扇風機なんかがまだなかった頃、先人達はどうやって暑さをしのいできたのか? “暑さをしのぐ=風を送る道具”っていう考え方は世界共通だったようで、うちわや扇子なんかはかなり大昔から使われていたようですけど。

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さて。日本の先人は、何と”音”によって「涼」を得ようとしました。涼し気な”音”を聞くことで、暑さを紛らわそうとしたわけですね・・ 何だか現代の私達とはちょっと発想の方向が違う感じがします。で、用いられたのが”風鈴”でした。勿論、元は楽器の一種だったようでして、神事や催事に用いられていたものみたいです。”音”によって、”場を浄化する”、”邪気や厄気を払う”っていう考え方があったんですね。おそらくはそういった考え方が転じて”暑気”も払っちゃおう(払えたらいいのに・・)って願望が入り混じった考えになったのかなぁ?と・・ そうやって、”音”を通じて季節感を楽しむと言う素敵な文化が根付いちゃったんでしょうね。

風によって音が鳴る”鈴”ですので、材質やその造りによって音色が違うわけです。ですので、土焼物の産地だと土鈴、鉄器製造等が盛んなところだと鉄製の鈴が、ガラス細工で有名なところではガラス鈴がって感じに各地域の産業に結び付いているのが面白いところなんです。その地域の歴史文化がぎゅっと詰まっていると言ってもいいでしょう。自分好みの色や形、そして何よりも皆さんそれぞれお気に入りの”音”を探してみるのは結構楽しいんじゃないかと思いますよ~?