異文化に接する場合、その文化圏における禁忌を知っておくことはとても大切です。コミュニケーション手段である「言葉」や「ジェスチャー」といったものには、この禁忌が数多く潜んでいます。困ってしまうのは、それらが文化圏が異なるだけで全く別の意味を持つ場合・・「言葉」に関しては、その文化圏の言語が話せなければ口にすることはありませんので、トラブルに繋がることは比較的少ないでしょう。しかし「ジェスチャー」はそうはいきません。その文化圏の言語が話せなければ、どうしても「ジェスチャー」に頼ることになります。

さて・・実のところ、日本には禁忌とされる「ジェスチャー」はほとんどありません。しかしながら、日本人が日常的に用いる「ジェスチャー」が他の文化圏では禁忌にあたることは非常に多かったりします。つまりは全く意図せずして相手に不快な思いをさせてしまう恐れが多いわけです・・

いくつか例を挙げてみましょう。

手を挙げる

お店等で店員さんを呼んだり、タクシーを呼んだり。学校の授業なんかで意見を言ったり、質問をしたりする際等々・・シチュエーションを挙げればきりがないくらいですが、ともかく自身をアピールする際にほぼ必ず使います。

OKサイン

文字通り、承諾の意思を伝える際に使います。海外でも同じ意味で使われていることも多いですよね。ただ日本独自のものとして、手の平側を上にすると「お金」を意味するジェスチャーになります。こちらの使い方も結構ポピュラーだったりしますのでご留意ください。

小指を立てる

主に男性にとっての「恋人」「彼女」といった意味を示します。浅からぬ絆なんかの意味合いを持つ「運命の赤い糸」が結ばれているのは小指だからですね。最近の若い世代の人達はあまり使わないかもですが。また小指を絡め合うことで、「約束」という意味を示したりもします。「指切りげんまん♪」というおまじないなんかもあります。

親指を立てる

OKサイン同様に承諾の意思や、「幸運を」とか「やったね」。最近ですとSNSの「いいね」なんかで目にする機会が非常に多くなりました。他にも、主に女性にとっての「恋人」「彼氏」といった意味合いもあったりしますが、小指を立てるジェスチャーと同様、若い世代の人達はあまり使わないようです。

顔の前で手を横に振る

「いいえ」「遠慮します」等、承諾できない意思を伝える際に使われます。こちらも非常に日常的に使われるジェスチャーです。

ピースサイン

自己アピールと言いますか、楽しい気分を表す?そんな時によく使われます。写真を撮る際になぜかこのジェスチャーをしてしまったことのある日本人は9割はいるんじゃないかってくらいにポピュラーなものです。本来の「V(ビクトリー)」という意味合いではあまり。10代の若い世代なんかは手の甲側を見せる使い方もします。

いかがでしょうか?
「言葉」にしても「ジェスチャー」にしても、禁忌とされるものは差別や侮蔑ににあたる意味を含んだものが多いんですね。異文化間の機会が増えた現代社会において、やはりちゃんと知っておくべきことでしょう。禁忌とされる「言葉」や「ジェスチャー」について、なぜそれが禁忌とされているのかという理由も含めてきちんと理解することが大切だと思います。日本人が海外を訪れた際に、もしも悪意なく禁忌にあたる言動をしてしまった際にはどうかお願いします。なぜそれが禁忌とされているのかという理由も含めて是非とも教えて下さい。