飲食店等で席に案内された後、店員さんが”固く絞った濡れタオル”のようなものを持って来てくれたりします。”おしぼり”ってやつですね。”おてふき”とも言いまして、その名の通り、食事の前にお客様が手を綺麗にするために提供されるサービスです。食後にも持って来てくれるお店があったりしますね。近年はパッキングされた”紙おしぼり”や”濡れティッシュ”なんかの方が多いでしょうかね? 海外の飲食店なんかでも見る機会が多くなりました。

o-shibori001
飲食店で提供されるこの”おしぼり”。元々は日本独特のサービス文化なんだとか。なんと平安時代(800年代)くらいまで遡れるそうです。当時のお公家さんなんかが客人を自宅に招いたりした際に手足や衣服の汚れを拭ったりするために”濡れた布”を出していたんだとか。江戸時代の頃には、その文化が庶民にまで広がっていたようで、旅籠(宿屋のこと)の玄関には旅人用に水入りの桶と手ぬぐいなんかが用意されていたんだそうです。飲食店で”おしぼり”が出されるようになったのは明治・大正時代の頃。飲食店が多様化して、庶民による利用機会が増えるにつれて一般的なサービスになっていきました。

o-shibori003
この”おしぼり”と言う”おもてなしサービス”は、海外から日本にいらっしゃった方達が飲食店を訪れた際に非常に驚かれたみたいですね。無料で必ず提供してもらえる、水やお茶のサービスと同様に、日本独特の文化として有名になりました。現在の私達にとっては、生まれた頃には既にあった文化で、当たり前のサービスだと思っていたものです。でも、この”おしぼり”のような、お客様への”おもてなし”のための文化が日本で生み出されたものだと言うことを改めて知ると、やはり嬉しいものです。更には、それが海外の方達に共感されて、広く受け入れられて行っているのはとても素敵なことですね。その文化を受け継いできてくれた先人達につくづく感謝です。そして、私達も後の時代へときちんと伝えていかなきゃ、と思ったりするわけです。

“おしぼり”マナー

前述のとおり、”おしぼり”はお客様をおもてなしするサービスです。お客様に気持ち良くなって頂くためのものです。ただし、この”おしぼり”に限らず、そのおもてなしを受ける側にもある程度のマナーと言うものは当然ございます。お客様としてもてなされる側だからと言って、マナーの欠いた行為等は以ての外ですよね? そんなわけで、”おしぼり”を使う場合の最低限のマナーについてご紹介しておこうと思います。ご参考にして頂ければです。

① 手を拭くのに使う
かつては、宿屋等で提供されていた濡れ手ぬぐい等の場合は手の他に、顔や体、足の汚れなんかを拭ったりするのにも使われていました。しかしながら現在、飲食店で提供される”おしぼり”は、あくまで手を拭くためのものです。時々、顔も拭いている方もいらっしゃいますが、お店側の方々、あるいは他のお客様によっては不快に感じる方も少なくありません。(たしかに、温かい”おしぼり”で顔を拭くととっても心地イイんですよね・・ 分かります)ですので、基本的には手(手首くらいまで)を拭くのに使うものとご理解頂いた方が良いでしょう。

② テーブルの汚れを拭いたりしない
食事中、料理の食べこぼしなんかでテーブルを汚してしまう事ってありますよね? 後は、飲み物の入ったコップ等を倒してしまったりとか・・ “おしぼり”が提供されていると、ついついそれで拭いてしまいがちですが、基本的にはお止め下さい。紙ナプキンや台布巾等が用意されている場合はそれをお使い頂くか、お店の方に言って、それ用のものを別途ご用意して頂いて下さい。

③ 使用後、包装袋に戻さない
店員さんが後片付けする際に、「直接触らなくっていいように」って言う心遣いから使用後の”おしぼり”を包装袋にキレイに戻す方がいらっしゃいます。お心遣い自体はとても素敵なんですが、お止め頂いた方が良いそうです。後で、包装袋から出すのが結構手間になっちゃうんだとか。ある程度キレイに畳んでおく、あるいは巻いておくくらいの気遣いで十分でしょう。

④ 持ち帰らない
“紙おしぼり”や”濡れティッシュ”ならば、それほど問題ありませんが。時々、あのタオル製の”おしぼり”をいつの間にか持って帰っちゃう方がいらっしゃるんだとか・・ ホテル等のアメニティグッズとは違いますのでご注意下さいませ。

温かい”おしぼり”の作り方

温かい”おしぼり”で顔を拭いたことはございますか? アレ、超気持ちイイんです。とは言え、飲食店等で提供される温かい”おしぼり”でそれをするのはちょっとご遠慮頂いた方がいいことは前述したとおりです。でも、あの気持ち良さは是非是非体験して頂きたいな~って思うわけでして。そこで、ご自宅でも簡単に温かい”おしぼり”を作る方法をご紹介しておきたいと思います。まぁ・・ Web検索して頂けば、結構出て来るんですが、折角の機会ですから。ただし、こちらでご紹介する方法で温かい”おしぼり”を作る際、およびそれをご使用する際にはくれぐれもヤケドにはお気をつけ下さい。コレ、とっても重要なことです。

① フェイスタオルorハンドタオル(顔を覆うことができるくらいの大きさ)をご用意下さい。
② 水で十分に濡らしてから、滴が垂れて来ないくらいによく絞って下さい。
③ イイ感じに棒状に巻いて下さい。
④ それをラップ(耐熱)で密閉するように巻いて下さい。
⑤ 電子レンジで30~50秒ほど加熱して下さい。
※加熱時間はあくまでも目安です。ただ、加熱しすぎるとラップが破裂しますし、下手するとタオルが乾ききって焦げちゃいますのでご注意を。
⑥ ヤケドしないようにラップを外して、粗熱を取ります。
⑦ 完成~!(≧▽≦)!

蒸し料理を作る際に用いる蒸し器や蒸籠(せいろ)を用いる方法もあります。ちょっと難しいのと、大掛かりになっちゃいますが。実は、一般向けに”おしぼり”ウォーマーなんて製品も市販されてるんですよ? ご興味があれば、検索してみて下さい。まぁ、いずれの方法を用いるにしてもですね? くれぐれもヤケドにはご注意下さい。蒸気は本当に危険ですので。