日本には世界自然遺産として登録されている地域が五つあります。「屋久島」「白神山地」「知床」「小笠原諸島」、そして「奄美大島 徳之島 沖縄島北部及び西表島」です。いずれも魅力的な地域ですので機会があれば是非訪れて頂きたいと思うのですが、この国には他にもまだまだ素敵な自然の風景がたくさんあります。
日本には古来より、八百万(やおよろず)の神様がいるという考え方があります。身の回りの万物にそれぞれ神様が宿っているわけで、それら全てに敬意と畏怖を以って接してきたんですね。「神様≒精霊」みたいな捉え方をして頂くのが分かりやすいかもしれません。現在の日本でも、各都市部から離れると、自然っぽい風景がまだまだ残っていたりします。所謂、「田舎」の風景です。実のところ、これらは本来の「自然」の風景ではありません。山や川、森や林等々、それらのほとんどは人の手が入ることで作られてきた風景なんですね。しかしながら・・それらはみんなちゃんと本来の「自然」に対して敬意と畏怖を以って接してきた結果できあがったものだったりするんです。何とか形として残してきた「自然」の風景なんです。その地域で生まれ育ったわけでもないのに、その風景にどこか懐かしさや安らぎを感じたりする方も少なくありません。日本人にとってそんな場所があるんだってことを知って頂けると嬉しいです。皆さんにも是非、そんな「自然」の風景も一緒に楽しんで頂ければと思います。
日本で初めて自然遺産として登録されたことで日本人にもよく知られています(因みに自然遺産としては「白神山地」も同時です)。ある有名な日本のアニメーション映画の中に登場する、人が足を踏み込まない「太古の森」のモデルにされたとも言われてますね。
島のほぼ全域が1,000~1,900mの山地となっていて、「洋上のアルプス」なんて呼ばれたりします。驚くことに、雪が降ります。島の位置は九州地方の最南部。気候帯としては亜熱帯地域にあたるのですが、前述のとおり2,000m近い山々が集まっている影響で亜熱帯から亜寒帯に及ぶ非常に多様な植物群が生息しています。周囲130kmくらいの一つの島にこれだけの広い植物相が凝縮されて分布しているのは、とても珍しいんです。「屋久島」と言えば、「縄文杉」をはじめとした樹齢1,000年を越える杉の大木、「屋久杉」が有名です。現在確認されている最古のものは、樹齢3,000年以上だとか・・
それこそ、人が足を踏み込まない「太古の森」って感じがしますよね?しかし実は、この「屋久島」。鎌倉時代(大体1,100年~1,300年ぐらい)の頃には、人の生活圏になっていたんです。何なら、江戸時代~昭和初期の頃には林業が盛んで、前述の「屋久杉」も伐採してたりしたんですね。
まぁ、そう言った経緯がありながらも。非常に珍しい優れた自然環境が残されつつ人の生活圏として機能しているって言うのがスゴイんだそうです。自然遺産に登録された大きな理由の一つです。ただ・・自然遺産に登録後、観光客が激増したせいで様々な弊害が生まれたのも事実でして。所謂「観光公害」ですね。今では一般的にも知られるようになった「エコツーリズム」を先駆けて導入したりと、環境保全のための試みは今でも続けられています。話題になって注目が集まれば、どうしても起きてしまうこの問題。これは、何も自然遺産に限ったお話ではありません。是非ともご留意頂ければと思います。
この地域は、人の手がほぼ入っていない天然のブナ原生林が世界最大規模で分布しています。
さてですね。実はこの地域。所謂、観光ツアーのようなものがある地域ではありません。世界遺産として登録されている地域には林道すら整備されておりませんし、今後も整備予定はないそうです。これからも、これまで通り、このまま保護していくってことですね。ですので、果たして「観光」という取り上げ方をしていいのか?ってところではあるのですが・・
「自然」っていうのは、人の手による開発がされていない場所のことを言うべきなのかもしれませんね。人が立ち入ることができるように手が加わってしまっては、「自然」と呼ぶのはちょっと語弊があるのかも・・でも、そんな手つかずの「自然」っていうものに触れられる機会があるなら、是非・・みたいな気持ちもあったりしますし。そんな複雑な気持ちも含めて、今回こちらで取り上げてみたわけなんですが。
そんな「白神山地」ですが、なんと4,000種類もの生き物が生息してるそうです。クマゲラ、イヌワシ、クマタカといった貴重な鳥類や、カモシカ、ツキノワグマ、ヤマネなんかもいるんだそうです。
北海道の北東部ににゅうっと伸びる知床半島。この半島の中央部から半島の先っ端と、それをぐるりと取り囲んだ沿岸海域一帯が、世界遺産に登録されている地域です。
北半球における流氷到達海域の南限にあたるこの地域は、非常に多種多様な生物が生息/生育しているそうです。海域/陸域/空域、それぞれを生息/生息域とする生物達同士の相互作用が非常に密接に影響し合うことで、とても豊かな生態系を形成しているんだとか。海域には、サケやカラフトマス、サクラマス等の大型の魚類の他にもシャチやアザラシ、トドといった海獣類も。陸に上がれば、ヒグマやエゾシカなんかが。更にはオオワシ、シマフクロウ、オジロワシ、ケイマフリといった希少な鳥類の生息域になっていたり。こんなにも大小様々な生物が、こんなにも密集した地域で生息しているのは世界的にも珍しいんですね。正に、陸海空の自然が凝縮された場所って感じでしょうか。
ご存知の通り、日本は島国です。大小様々な6,800以上の島々から成り立っています。当然、それぞれの島々の周囲は海に囲まれているわけで、非常に広い領海を有しているんです。
さてさて。この「小笠原諸島」ですが、本土(北海道/本州/四国/九州/沖縄)からは、すっごく離れています。本州からはおよそ800km、沖縄本島からはおよそ1,300km。加えて、他の国の領土に属する離島等からもそれ以上離れた洋上に位置しています。つまりは、他の環境地域から隔絶されているんですね。当然「○○諸島」ですので、「小笠原諸島」を形成している島々もそれぞれが離れているわけでして。そのために、島それぞれで異なった生態系が形成されているんです。他地域とも隔絶されていることから、動植物共に希少種/固有種も多いんだそうです。
自然遺産への登録前に、「エコツーリズム」推進がかなり徹底された地域です。それだけにですね?見学には事前予約が必須だったり、専門のガイドの方同伴が義務付けられていたりと訪れるのが結構大変だったりしますが・・しかし、実際に訪れるとやはり本当に素晴らしいんだそうです。一度、ご検討頂いてはいかがでしょうか?
2021年7月に登録された自然遺産です。いずれも日本の特別天然記念物に指定されている絶滅危惧種/希少種の動物類が生息する地域としてよく知られていました。イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、トゲネズミ類等々。北海道、本州、四国、九州では、その近縁種が生息していないような珍しい動物類が多いのが大きな特徴と言えるでしょう。遠く海を隔てているため、やはり環境地域として全く別の生物相を有しているんです。しかしながら、近代以降これらの地域における生物相は外来種の生息域拡大によって常に脅かされてきました。日本の固有種動物はその多くが基本的に小さいんです。それ故に、その近縁種や天敵にあたる外来生物等が持ち込まれると、あっという間にその生息数が減少させられてきたんです。国や自治体による保護活動ための試みも多く行われてきました。そんな経緯もあって、今回の登録に至ったわけです。
登録名が「奄美大島 徳之島 沖縄島北部及び西表島」とされていますが、今回自然遺産として指定された各エリアは各島全体やその周辺海域全てを含むものではなく、各島毎に細かに限定されたものになっています。と言うのも、沖縄本島を含む各島は日本でも有数の観光地域だったりするんです。また、スキューバダイビング等のマリンスポーツの超人気スポットなんですね。そのため、自然遺産として指定されるエリアにはそれらの観光/レジャー地域は含まれないことになったようです。沖縄周辺は今後も観光客の増加が期待されている地域です。「エコツーリズム」推進との両立等、課題も非常に多かったりします。観光に訪れて頂く際には、くれぐれもご理解/ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
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